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次話 京太郎インタビュー 西田「うーん……原村和さんのインタビューに成功したのはいいけど、必要最低限って感じだからもうちょっと何か欲しいところね。 チャンプの妹である宮永咲さんに取材出来たら良かったのだけど……ってあれは」 咲「京ちゃーん。これから部活ー?」 京太郎「あー、いや先に購買でシャーペンの芯買ってくるわ。ついでになんかあるか?」 咲「んー。それじゃあ……」 西田「すみませーん!」 咲「ひぇっ!?」 京太郎「ん?」 西田「少しお話いいですかー!?」 咲「あわわ、き、記者の人だ! ごめん京ちゃん後でね!」ビュー 京太郎「あ、おい! ……行っちまった」 西田「あら、逃げられちゃった」 京太郎「すいません、何か咲に用ですか?」 西田「ええ。清澄高校麻雀部のインタビューとして、あの子にもお話聞きたかったのだけど……あの様子じゃ無理そうね」 京太郎「そうっすねー。あいつ結構人見知りなんで、そういうのは無理かなって」 西田「姉妹でも、似ない所は似ないのね……」 京太郎「はい?」 西田「こっちの話。申し遅れました。私、西田といいます。よろしくね」 京太郎「あ、須賀です。よろしくっす」 西田「須賀君。君は彼女と仲良いの?」 京太郎「? ええ、まぁ」 西田「もしかして、彼氏……だったり?」 京太郎「いやいや、そういうのじゃないっすよ」 西田「あらそう。仲良さそうだったからつい」 京太郎「よく言われますけどね。それじゃ、俺もそろそろ行きますね」 西田「……あ、ちょっと待って」 京太郎「?」 西田「さっき清澄高校麻雀部のインタビューをしたいって言ったじゃない?」 京太郎「ええ、はい。咲にも話聞きたいって」 西田「良ければ、君の話も聞かせてもらえないかな?」 京太郎「お、俺っすかぁ?」 西田「ええ。選手達と関わりある、選手でない人の意見っていうのも、結構ネタになるからね。一応撮影はさせてもらうけど、そんなに時間は取らせないし、退屈もさせないから」 京太郎「んー……。まいっか。部長に遅れる連絡だけさせてもらっていいですか?」 西田「ありがと」 それじゃあ改めて、お名前から。 京太郎「清澄高校一年、須賀京太郎です。よろしくお願いしまーす」 清澄高校麻雀部とは、どういう関係で? 京太郎「関係っつーか、一応部員です。俺も」 一応、と言うと? 京太郎「いやー、他のみんなは大会に出て全国へー、とかってレベルなんですけど、俺だけ初心者なんですよね。高校に入ってから初めたばっかで」 周りは経験者ばかり? 京太郎「そうですね。と言っても、部員は大会に出た5人と俺の合計6人なんす。ハーレムってやつですよハーレムははは」 あまり嬉しそうではありませんね。 京太郎「……いや、部活で他が女の子だけって、どーしたって異物感出ますよねって話です……」 部室にいると気まずい? 京太郎「気まずいかって言われるとそーでもないんですよ。やっぱり女子だから男子だからで気を遣わなきゃいけない事はあるんですけど、そういう壁をお構い無しに仲良くなる奴もいますし、みんな良い人ですしね」 特に仲のいい部員といえば? 京太郎「やっぱ咲とタコス……あー、優希ですね。片岡優希。さっき言ったお構い無しの奴です」 同学年ですと原村和さんもいらっしゃいますが、そちらとは? 京太郎「仲が悪い、って訳じゃないですよ? ただ、和は二人よか真面目なんで、男女は適切な距離感を保つべきって考えがあるんでしょうね。二人と比べたら距離はあるかなって」 ガードが堅いと。 京太郎「そう………いや、あれで無防備な所もあるんで、身持ちが固いって言うべきかな。うん」 片岡優希さんは男女垣根無い方だそうですね。 京太郎「良い言い方をすればそうですねー。お子ちゃまとも言えますけど」 宮永咲さんは、そうではない? 京太郎「男女どちらとも人見知りするって意味なら、垣根無いとも言えますけどね。学校の友達は部内にしかいないみたいですから」 宮永さんとは、どのように仲良くなったのでしょうか? 京太郎「どのように、かー……。えーとですね、咲とは中学の時に同じクラスだったんですよ」 高校の部活以前に交流があった? 京太郎「そうですね。で、クラス委員を男女一人ずつ出さなきゃいけないってなった時に、ほぼ押し付けられる形で俺と一緒にクラス委員になったのが咲だったんですよ。俺は面倒だけどまあいっかーってノリだったけど、あいつは多分嫌だけど嫌って言って話し合いにもつれ込む方が嫌って感じでしたね」 その頃の宮永さんは、どんな人でした? 京太郎「ぼっちなのは変わらないんですけど、あの頃は人見知りってより、誰とも関わりたくないって言いたげなぼっちでしたね。委員で最初話しかけた時も挨拶だったかをボソッと喋るくらいで、暗いなーとか冷たい奴だなーとか思いましたし」 そこからどうやって仲良くなったのでしょうか? 京太郎「それが聞いてくださいよ! クラス委員の最初の仕事で、誰々の席がどことかの掲示を作るんですけど、出来た紙を先生に見せてくるつってさっさと教室を出て、しばらくしても戻ってこなかったんですよね」 その間、須賀さんは待ってた? 京太郎「掲示を貼るまでが仕事なんで、先に帰られるとは思わなかったですしね。で、暇潰しに携帯弄ってたら、先生が教室に来て「まだ出来ないのか?」って言うんすよ。あいつが行った筈って言ったら、いや来てないって」 入れ違いになってた? 京太郎「どころか咲の奴、校舎内で迷子になってたんですよ!」 迷子。 京太郎「信じられます!? 入学して一週間足らずとはいえ、一緒に行くと言った俺に「別にいいです」と言っておきながら! その棟の一階にある職員室までに辿り着けず! 俺と先生が探しに行って見つけたのが別の棟の3階ですよ!? しかも見つけた時にはトイレが限界近くて、涙目でプルップルしてやがったんすよ!」 京太郎「目視出来る距離にあった女子トイレに案内され、駆け込んで行く姿を見て、俺は確信しましたね。「ああ、こいつはポンコツだな」と」 ポンコツ、ですか。 京太郎「ええ。それからというものの、日常のあらゆる所でそのポンコツぶりを遺憾なく発揮して、クラスでの立ち位置は「一人になりたいぼっち」から「クールぶりたいポンコツ」に変わっていきました」 いわゆるマスコット枠、みたいなものですか? 京太郎「そんな感じですねー。それで、そのポンコツをからかいつつ話してたらいつの間にやら、という風に」 宮永さんはその頃、麻雀では 京太郎「あ、中学の時には麻雀やってなかったですあいつ」 やっていない? 京太郎「ええ。どうやら小学生の頃までに家族麻雀でやってたぐらいで、中学の時にはそういう話全くしてなかったです。俺もその頃はハンド部で、麻雀とか全然でしたし」 それで、団体戦の大将を任されている? 京太郎「びっくら、ですよねー。俺もまさかカモだと思って麻雀部に連れてきたポンコツが、麻雀では魔王に変身するとは」 魔王ですか。 京太郎「俺が勝手に呼んでるだけですけどね。あいつ麻雀やってる時、時たまスゲー形相というか、黒いプレッシャーぽいのが出るんすよ。部長とかは俺が気付いてるより多めにそういうの感じてるみたいです。それがもう魔王! って感じで」 萎縮してしまう? 京太郎「んー。そうなった時には「うわ怖っ」ってなるんですけど、「でもこいつポンコツだしなぁ」って考えると冷めた目になりますね」 麻雀をしている時と、していない時のギャップをどう思う? 京太郎「ギャップと言われても、みんなそういうもんじゃないですか? 咲のは極端な方だと思いますけど、俺だって家族と接する時と友達と接する時で違いはありますし。なんならもっと変わる人もいますしね」 現在の宮永さんを見てどう思いますか? 京太郎「俺以外にも友達出来てるし、前より明るくなったし、熱中するものが出来たしで、良い変化だと思います」 では、最後に何か一言。 京太郎「清澄はレディースランチが美味いですよ」 咲「ちょっと京ちゃん! これどういうこと!?」 京太郎「ん? ああ、この記事この前のインタビューの」 咲「私の中学時代の黒歴史が暴露されてるし、「ポンコツ魔王」とか呼ばれてるんだけど!? これ京ちゃんの仕業でしょ!? なんでこんなことするの!?」 京太郎「だってお前がポンコツなのは今でも変わりないし、魔王っぽいのは事実だし」 咲「ひどい!」 京太郎「ひどくない!」 久「和のでっかい写真のページに、事細かに書いてあるわねー。大将、宮永咲の素顔って」 和「何故か須賀君の顔写真付きですね。目線に黒線が入ってますけど」 優希「京太郎、お前ついに……」 京太郎「ついにってなんだよ! 容疑者の供述とかじゃねーんだよ!」 咲「話終わってないよ! どうしてくれるの!? 私全国の場でこれ読んだ人に「あ、ポンコツの人だ」とか「魔王の人だ」って思われるんだよ!?」 京太郎「逆に聞くけどお前、麻雀してない時でポンコツじゃない時あるか?」 咲「あるよ! なんかこう……京ちゃんより国語の成績良いとか!」 久「語る所がそれの時点でもうポンコツよね」 優希「しかも理数系はのどちゃんの半分以下だじぇ」 和「体育だと何もないところでずっこける運動音痴ですし」 京太郎「な? 咲。お前は誰もが認めるポンコツなんだよ」 咲「むきー!」 久「けど須賀君。今回はいいけど、メディアの場であんまりうちの情報ベラベラと喋らないようにね。ただでさえノーマークだった清澄が県大会優勝して注目を浴びてるんだし」 京太郎「大丈夫ですって。俺相手にそう何回も取材なんて来ないですし」 ガチャ まこ「おーい京太郎ー。前回のインタビューが好評だったから、おんしにまた取材したいと記者の人が来とるんじゃが」 京太郎「あるぇ?」 カン 次話
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前話 次話 京太郎インタビューその4 全国大会へとやってきた清澄高校。そしてSK君。 今回から全国大会中の様子を高スパンでお送りする予定の為、インタビューの様子を動画で配信する事となった。 それに合わせて、以前より問い合わせの多かったSK君の素顔の公表についても交渉し、これを受諾。 彼の身内と取材陣しか知らなかったSK君の端正な顔立ちが、今明かされる。 まずは動画配信、並びに素顔の公表を受け入れてくださって、ありがとうございます。 京太郎「はい。といっても、そんなに需要があるとは思えませんけどね。このインタビューって、基本的にうちとかの女子選手達の裏側が知りたい人が見るものでしょうし」 ……需要しかないから問い合わせが殺到したのですが……まぁいいでしょう。 京太郎「それで、今回はどんな話をしましょうか」 それではまず気になった事なのですけど……気を悪くしないでくださいね? 京太郎「はい?」 良く来られましたね? 京太郎「? と言いますと?」 いえ、基本的に大会での遠征となると、選手や監督、コーチくらいのもので、それ以外の応援する部員となると、それこそ大手の学校になるのですよね。 京太郎「あ、あーそういう話ですか」 S君一人分にしても遠征費は馬鹿になりませんし、男子となるとまた別で部屋を押さえる必要があるので、それだけのお金を学校から出してもらえたということに……まさか自費ではありませんよね? 京太郎「それは無いですけど……うーんと。聞くところによると、どうやら学校としては元々俺も付いていかせるつもりは無かったそうです。理由はさっき言ってた通りで」 では、何故? 京太郎「俺ももっともな理由だと思ったんですが、部長がそれについて先生方に抗議したらしくて」 部長さんが、ですか? 京太郎「はい。なんでも「何言ってるんですか! S君がいなかったら咲は広い東京で迷子のまま帰って来なくなりますし、優希はエネルギー切れで行き倒れますし、和なんか道行くわるーいお兄さんに連れ去られて行方不明になるでしょーが!!」とか」 後輩達に対する信頼がまるでありませんね……。 京太郎「心配なんだと思いますよ。かくいう俺も同じ所で心配ですから。そんな訳で、応援兼ボディガード兼マネージャーという形で一緒に東京来る事になりました」 成程。 京太郎「咲は東京に着くまでの駅でも何度か迷子になりますし、優希は遠征に思ったより時間が掛かったせいでエネルギー切れて自分で歩かなくなりますし、和は俺と一緒にいる時にも遠目でジロジロ見られてたみたいで、付いてきて正解だったな……とは思いましたね……」 それはまた、予想を裏切らない方達ですね……。 東京に来た事はありますか? 京太郎「無いですねー。今の時代、電車やら新幹線やら飛行機やらでどこでも行けますけど、特別用が無いとそれだけの時間と金を掛けて出掛ける事無いですし」 長野から出た事も無い? 京太郎「いえ、家族旅行とか修学旅行とかではありますけど……、東京方面に行った事は無いかな」 どうですか? 東京に来てみて。 京太郎「圧巻、ですよね。色んな建物が所狭しと立ち並んでますし、何より人が多いのなんの」 初日にして東京の洗礼を浴びましたか。 京太郎「そうなりますかね。で、初日の昨日は遠征ってのもあってみんなは旅館で休んでました」 みんなは? 京太郎「俺も疲れてましたけど、みんな程じゃなかったし、ちょっと休んだらじっと落ち着けなくなって、周りの地理を把握する意味でもと思って散歩したんですよ」 迷子にはなりませんでしたか? 京太郎「旅館の名前やらはメモってたので、地図アプリを開けば場所は分かりましたから、特に問題ということは無かったですね。咲とは違うのだよ! 咲とは!」 それ以上は宮永さんに怒られそうですが。 京太郎「あいつ麻雀絡ませない限りは怒っても大して怖くないですしねー。で、テキトーにその辺をほっつき歩いてたら、「あ! え、S君だ!」って突然声掛けられまして」 目線を入れない素顔の公開は今回が初なのに、掛けられたんですか。 京太郎「ええ。誰だ? と思って見てみたら穏乃……阿知賀女子の高鴨穏乃でして」 阿知賀女子のというと、奈良県代表高校の? 京太郎「ええ。そういや雑誌でそんな高校もあったな、と」 穏乃……というと。 京太郎「あー。まぁ話してる内に思いの外仲良くなった、というか。その時は向こうも礼儀正しくして、「あ、あの! 私麻雀部で、奈良県から出場してる高鴨穏乃って言うんですけど! 長野で清澄高校のS君ですよね!?」って聞かれまして」 前から思ってましたが、物真似上手いですよね。 京太郎「そうですか? それで、そうだけどって返したら、どうやら和の昔の友達らしくて」 ほほう。意外な所に接点が。 京太郎「他にも和の友達がいて、今の和について聞きたいからっつって阿知賀の人達が泊まってる部屋に案内されまして」 ホイホイと連れ込まれてませんかそれ。 京太郎「まー普通なら警戒するとこでしょうけど、毒気が抜かれるというか危機感を持つだけアホらしいというか、これで騙されてたら俺の見る目を一生信用出来ないってくらい無邪気だったんで。大人しく連れていかれました」 それで、連れ込まれてからどうなりましたか? 京太郎「一応俺を連れてくるっていう連絡は事前に入れてたみたいで。部屋に入った時に紙袋を被った人に「ふっふっふ、良く来たのですSK君!」って出迎えられました」 紙袋。 京太郎「頭を覆い隠してた紙袋の穴から長い黒髪が伸びてましたし、他の特徴と阿知賀女子の人ってのと照らし合わせて正体は松実玄さんってのはすぐ分かったんで、指摘したら「はうっ!? な、なんで分かったの!?」って言った後にハッとして「ち、違うよ!? 私は謎の覆面女子高生MK! 奈良県代表阿知賀女子麻雀部先鋒で、旅館を経営してる松実家の次女で、ドラ保有率100%故に阿知賀のドラゴンロードと呼ばれている松実玄ちゃんではないのです!」なんて取り繕い始めまして。隣にいた鷺森さんに「玄。余計な事までバラしてる」ってツッコまれてました」 なんでそんな奇天烈な行動を……。 京太郎「さぁ……? ともかく正体バレバレなのが分かると松実玄さんは紙袋脱いで、阿知賀女子の四人の人と自己紹介しました」 四人、ですか? 五人ではなく? 京太郎「一人は男性慣れしてないとの事で布団に包まってました」 布団に包まって。 京太郎「……まぁ男慣れしてる人ってのは一人もいませんでしたが、特にって感じで。あと監督もいたそうなんですが、その時は席を外してましたね」 それで、その四人と原村さんについて? 京太郎「いえ、和の友達は五人の内三人で、内一人は包まってたので、穏乃と玄さんの二人と、ですね」 玄さん? 京太郎「あー。姉妹で一緒にいたんで、松実さんだと混ざるからって名前呼びするように、と」 阿知賀女子の方と仲良くなるスピードが尋常じゃないですね。 京太郎「俺も結構なものだと自負してますが、向こうも向こうでコミュ強でしたからねぇ……」 彼女等の部屋にいる間はその二人とずっと原村さんについて語ってたのでしょうか? 京太郎「それがそうでもなくて……しばらく話してる内に、話の流れで玄さんが「ええ!? S君、おもちに触った事無いの!?」とか言い出しまして」 おもち? 京太郎「直訳すると女の子の胸の事です」 何故そんな話の流れに……。 京太郎「なんだったかなぁ……。和は今あれだけ大きいけど、小学生の頃から凄かったんだよーって玄さんが語り始めたからだったような」 それで、それから松実玄さんが胸…………おもちについて語っていたんですか。 京太郎「いや、そこからは話すぐ終わったんですよね。……いや終わらせられたというか……」 というと? 京太郎「俺が触った事ないです、と返したら玄さんが「それは勿体無い! 大丈夫なのです! おもちは友達! 怖くないよ! ほら!」とか言って、俺の手を掴んで自分の胸を鷲掴ませまして……」 え。 京太郎「俺が呆気に取られて何秒かぐいぐいさせられたら、玄さんも自分のやってる事に気が付いたんでしょうね。一気に顔が真っ赤になって弁解らしき言葉を口にしようと」 かなりおばか…………勢いで生きてる方なんですね。 京太郎「あまり包めてませんよオブラート」 ちなみに鷲掴んだ感触は如何でしたか? 京太郎「………………………………ノーコメントで」 京太郎「で、なにか言葉になる前に新子さん……包まってた人ですね。が、「くーーーろーーー……?」って、笑顔で怒ってる感じで玄さんの後ろに立ってまして」 いつの間に出て来てたんですか。 京太郎「俺達が話してる内に顔だけはちょこっと布団から出してたのは見えてましたね。で、それ見て怯えた玄さんを「逆セクハラ娘は出ていきなさい!」つって部屋から蹴り出してました」 先輩に容赦がありませんね、新子さん。 京太郎「幼馴染みだと年の垣根ってあって無いものかもですね……。それで、閉め出された玄さんが部屋の外で「お、お゛ね゛え゛ぢゃああああん!!」って泣き叫びながら、何故か部屋から遠ざかっていって、その後で宥さん……姉の方の松実さんが「く、くろちゃー……」つって追いかけてって、まず松実さん二人が部屋から消えまして」 まず? 京太郎「その後、新子さんに助け舟出してくれた事にお礼を言ったら、聞いたことの無い悲鳴? を上げられまして」 悲鳴? ……具体的にはどのような? 京太郎「確か「ふきゅ!」だったかな?」 また新しい悲鳴ですね……。 京太郎「そんでまくし立てるように穏乃にあれこれ言った後、新子さんも部屋から出て行っちゃって、俺と穏乃と鷺森さんの三人が取り残されました」 それで、その場はもう解散となった? 京太郎「俺はそうかなと思ったんですが、穏乃的にはそうでなかったらしく、ちょっと言い辛そうな感じでもじもじしてたんですよ」 おや、面白そうな反応が……。 京太郎「俺がどうした? って聞いたら穏乃は意を決した感じで「あ、あのね!」つって」 これは、まさか……!? 京太郎「「S君ってドラゴン○ール読んでる!?」って」 ズコーッ! 京太郎「うわっびっくりした! なんですか急に顔面スライディングして!」 い、いえ……思ってた反応と違ってたもので……。 767名無しさん@お腹いっぱい。2021/07/01(木) 17 45 44.38ID PTFFyHFK0 京太郎「まぁ俺も唐突! とは思いましたけどね。どうやら穏乃ってドラゴ○ボールの大ファンなんですけど、周りにそういうの語れる人がいなかったらしくて。男で同年代で和の友達の俺ならもしかしたら、って思ったらしいです」 同年代の男の子ならともかく、原村さんの友達は関係あるんでしょうか……。 京太郎「ある程度信用出来る男って意味なら、あるかもですね」 それで、S君は読んでるんですか? ドラ○ンボール。 京太郎「そりゃあもう。漫画は読破してますし、アニメもDVDが全部家にありますし、ゲームも全部とはいきませんが古いのから新しいのまで揃ってます」 かなりのファン度ですね。 京太郎「穏乃はゲームこそ無いものの、数あるド○ゴンボール映画をコンプリートしてましたよ」 そうなると、とても話が合ったんじゃないですか? 京太郎「そうですね。俺は男友達にもファンはいますけど、穏乃はそうじゃなかったんで、今までに語れなかった分を語り尽くそうって勢いで話してました」 その流れで下の名前呼びになったんですか? 京太郎「ええ。そろそろ帰らないとって時間になって、語り足りないし連絡先交換しようっつって、その時に」 東京初日で女の子の連絡先ゲットしたんですね? 京太郎「言い方!」 では、最後になにか一言。 京太郎「東京でオススメの、テイクアウト出来るタコスが売っている店を知っている方がいらっしゃれば、どうかコメントの方お願いします」 晴絵「…………私がいない間に何やってんだあんたら」 穏乃「いやーごめんなさい! 初めての東京でテンション上がって、その辺をダッシュしてたら京太郎君ぽい人見掛けちゃって! 確認したら本物だったからそのまま連れ込んじゃいまして!」 晴絵「いやそれもだけどさぁ……見ず知らずの男を部屋に招くとかさぁ……」 穏乃「? 和の友達だし、見ず知らずじゃないですよ?」 晴絵「そーなんだけどさぁ……」 灼「ハルちゃん。穏乃には何言っても無駄……」 憧「しずもしずだけど、玄も玄よ。なんであんなに恥を晒したわけ?」 玄「言い方酷くない!?」 灼「須賀君が部屋にいる間、ほぼずっと布団に包まってた憧も大概だと思……」 憧「そ、それは仕方ないでしょーよ! 部屋でだらだら過ごしてたらいきなりしずから連絡来て「S君見つけた! 今そっちに一緒に向かってるー!」とか言うのよ!? 心の準備ってものがあるでしょ!?」 穏乃「でも憧、雑誌で京太郎君の写真とかコメントとか読んで、「ふーん。まぁ、悪い奴じゃないかもね」とか言ってたし、男の子苦手な憧でも大丈夫かなって思ったんだけど」 憧「……違うのよ……悪い奴どころか、本物見たら超タイプだったのが問題なのよ…………」 穏乃「へ?」 憧「と、とにかく! どーすんのよ玄。あの時の事が知られて、アンタこれから「初対面の男に胸触らせた痴女」って事になるんだけど?」 晴絵(動画のコメントだと「勢いで胸触らせちゃうおばか女子高生」って感じだけどな……) 玄「痴女!? ち、違うよぉ。私本当にそんなつもりなくて……」 憧「和だってそんなつもり無いけど、ネットじゃ「長野が生んだエロの化身」とか呼ばれてるわよ。そこ行くと玄は「奈良が生んだエロの化身」になるわね」 玄「うぇぇん! そんな渾名つけられたらもうお嫁に行けないぃぃぃ!!」 灼「そしてそんな化身と一緒に出場する私達……」 憧「言うな……言わないで…………」 玄「おねえちゃぁぁぁん!!」ビエー 宥「だ、大丈夫だよ玄ちゃん。その時は、ほら。責任を取ってもらう? って事で……」 晴絵「逆セクハラした立場でそれは難しくない……?」 穏乃(今度は和や清澄の人達とも一緒に話せたらいいなー) ちなみに、公表されたSKの素顔に注目が集まったので、阿知賀女子麻雀部の事柄はそれ程話題に挙げられなかったという。 カン 前話 次話
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前話 次話 京太郎インタビューその2 前回のインタビューにて、清澄高校麻雀部の大将・宮永咲さんについてのコメントを頂けたSK君。 女子麻雀選手の関係者で希少な男子生徒ということもあり、今までに無かった需要が増えているとのデータが出ている。 今回は、彼自身についてインタビューを行う。 というわけで、今回もよろしくお願いします。 京太郎「よろしくお願いします……いや、まさか二回目があるとは」 とても面白いお話を聞けたのと、目線を隠しても分かる顔立ちの良さが人気を呼んだみたいで。 京太郎「話、はともかく、顔立ちですか?」 綺麗に整っているかと思います。 京太郎「あ、はは。あんまそっちで褒められた経験ないんで、反応に困るなぁ。でも、ありがとうございます」 それでは早速質問に入りますね。 京太郎「はい。あーでも、清澄の選手事情に関しては口止めされたんで、そこはちょっと……まぁ、聞かれても俺から有力な情報が出るとは思えませんけどね」 分かりました。それではまず、前回のインタビューで高校から麻雀を始めた初心者と言っていましたが、麻雀を始めたきっかけはなんだったのでしょうか? 京太郎「きっかけですか…….。ぶっちゃけちゃうと、麻雀そのものに興味が出て始めた訳じゃないんですよね」 と言いますと? 京太郎「入学式の日に新入生代表つって、麻雀で去年インターミドル王者になったっていう女の子、まぁ和なんですけど。その子が全校生徒の前で挨拶して、「高校でも麻雀を続けたいと思います」って言うんですよ。当時のうちは無名も良いとこだったんで、なんでうちに来たのかは謎でしたけど、部長も美人さんと噂だし、あの子が入るならやってみよーぜって男友達となってですね」 一目惚れした女の子が入った部活に、一緒に入ったということですか? 京太郎「そんな真剣な気持ちじゃないっすよ。青春に飢えた男子高校生が可愛い子とお近付きになりたいってあっさい考えで部活見学しただけです」 中学時代はハンド部だったそうですが、そちらを続ける気は? 京太郎「無かったですね。これでも結構良いとこまで行ったレギュラーだったんですけど、だからこそ情熱を費やしちゃったっていうか。なので、高校では何か違う部活をやろうって思ってまして」 入部希望者は他にもいた? 京太郎「いえ、俺と似たような事考えてた野郎共は結構いましたけど、他全員は部活見学の段階で辞めましたよ」 入部試験でもあったのですか? 京太郎「似たようなものですかねー。部室に入ってとりあえず打ってみようって事になったんですが、和はもちろんのこと、一緒にいたちんまいのに、元からいた部長や先輩が、これがまた強いわ強いわで。ちっとも歯が立たないし、全然上がれないし、そもそも麻雀自体がムズいしでどんどん来なくなって。部活見学期間が終わるまで残ってた男子は俺だけになりました」 何故そんなことに? 京太郎「後から聞いたんですけど。優希のやつが「のどちゃんに集ろうとする悪い虫は駆逐してるじぇ……! 一匹残らず!」って意気込んでたらしくて、未経験者相手に本気でやってたんですよね。こっちは役どころか牌の読み方も良くわからんのに、大人気ないったらありゃしない」 須……S君は悪い虫では無いと思ってもらえたと。 京太郎「そういうことになるんですかね。俺が入部届出した時に、したり顔で「お前中々根性あるな。よし、今日からはこのゆーき様の犬としてこき使ってやるじぇ!」とか言ってましたが」 犬。 京太郎「あいつなりの男友達って意味でしょう。俺もいつもタコス食ってるからタコスって呼んでますし」 他の子が辞めていく中、S君が残ったのは何故でしょうか? 京太郎「まぁ部活見学でひたすら打っていく内にですね。役の名前がオシャレーだとか、思ってたより奥が深いんだなーとかって、そういう所から麻雀の楽しさに目覚めたからってとこですね」 原村和さんの美貌に、他の男子達より惹かれてたのもあるのでは? 京太郎「いや、それは……まぁ……恥ずかしながら」 やはり彼女のスタイルは目を引かれるものですか? 京太郎「ぬぐっ!!」 恥ずかしがる事はありませんよ。うちの会社でも彼女はグラビア向きだともっぱらの噂で 京太郎「その分かってますよ感出すのやめてくれませんか!? そう言う人が本当に分かってくれてた試し無いですからね!? 男子高校生はみんなエロい事しか考えてないとかそういうのを理解するのも大人になるって事だとか言ってしょうがない生き物だって風に扱いますけど! そりゃあエロい事は考えますよ! 男の子ですもの! でもだからってそれしか考えてないとか言って、スタイル良い子が好みって言ったら女の子を身体しか見てないとか言うのはおかしいでしょ!? じゃあ言わせてもらいますけど! うちの麻雀部でも他の女子選手も好みのタイプは麻雀が強い人って大体答えてるけど、麻雀強ければ他はどうでもいいってのと麻雀が強い(ただしイケメンに限る)じゃ全然話変わってくるじゃないですか! ブサメンだろーが運動音痴だろーがクズであろーが麻雀が強ければそれでいいって人も中にはいるかもしれませんが、他にも前提や好みがあるのが普通でしょ!? 諸々考慮するけど麻雀強い人だとポイント高いよって話でしょうよ! だったら男も諸々考慮してスタイル良い子だとポイント高いよって女の子の好みを考えるのはそんなにいけないことですか!?」 落ち着いてください。 京太郎「ふー、ふー……、ふー…………。すいません、ヒートアップしました」 いえ、こちらも偏見を持ったまま深く考えずに発言しました。申し訳ありません。 京太郎「まぁ中には本当に女の子を身体しか見てない奴はいますからね。俺はそんなつもりないですし、男がみんなそうじゃないって分かってもらえれば」 原村さんが好みではあると。 京太郎「そうっすね。さっき言ったスタイルは置いといても、可愛いし、キリッとしてるし、最初見た時の印象はすごい良かったです」 現在の原村さんの印象はどうでしょうか? 京太郎「外見は変わらずなんですけど、中身の方。どういう女の子かってのは、結構見る目変わりましたね」 中身の印象、ですか? 京太郎「最初の頃はこんな完璧超人みたいな子が本当にいるんだなーって漠然と思ってたんですけど、世間知らずだったり結構抜けてる所があったりしてて。悪い意味じゃないんですけど、変な子だなって」 確かに。大会にぬいぐるみを持ち込むなど、目立つ部分はありましたね。 京太郎「一番驚いたのが私服ですね」 オシャレでない? 京太郎「そういうのじゃなくて、生地がやたら薄かったり、布面積がやたら小さかったりで……。それ夜のベッドで女が男を誘う勝負服だろってくらい扇情的だったんですよね」 原村さんにはそういう趣味が? 京太郎「普通に外で着る普段着の振る舞いをしてたので、本人的にはただのオシャレのつもりなんでしょうね……。真面目なんだけど肝心な所でガードガラ空きというか、無自覚無防備というか」 S君からそういう指摘はされたのでしょうか? 京太郎「俺じゃなくて優希の奴が「エロエロだじぇ」って感じで言ったんですけど、「いいじゃないですか。可愛いですし」と。いやそういう問題じゃねぇんだけどってツッコミ入れるのを必死にこらえてました」 S君は今年の大会には出られたのでしょうか? 京太郎「出ましたよ……一回戦で最下位でしたけど」 最下位。 京太郎「一度も上がれず箱割れです」 清澄で指導は受けているのでしょうか? 京太郎「んー。仲間内で人数足りない時とかに入るくらいで、指導とかは無いかな。一緒に打ってる相手にどうこう言われるのはありますが」 男子の育成に力を入れていない、と。 京太郎「うちは顧問やらコーチやらもいないですし、他のメンバーはみんな全国を目指すレギュラーですからね。入れようにも入れられないかなって」 悔しくはないでしょうか? 京太郎「悔しいといえば悔しいですよ。他のみんなはすごい人ばっかで県大会優勝までしてるのに、俺だけはって。 でもそれを指導してもらえなかったからとか、構ってもらえなかったからとか言って他人のせいにするのはカッコ悪いじゃないっすか。 第一、初心者の指導の為にレギュラーの少ない時間を削ってくれなんて言えませんし、言わずともしてくれたとして申し訳ないですよね」 大人ですね。 京太郎「いえ、そう考えるようになったのも割と最近で、それまではもう辞めちゃおうかなって思いもしましたよ」 何かあったのでしょうか? 京太郎「特別何かあった訳じゃないですけど、もう何やってんのか分かんないレベルの人等と一緒にいると、やっぱり劣等感っていうのですかね。俺麻雀向いてないのかなぁとか。俺が麻雀部にいる意味ってあるのかなぁとか。どころか俺がいても邪魔なんじゃないかって、一人で考えてると悪い方悪い方に想像しちゃって」 思い直せたのは何かきっかけが? 京太郎「部活の先輩がね、言ってくれたんですよ。俺も合わせて清澄麻雀部なんだって。実力あるのが集まっただけじゃチームとして成り立たない。清澄がチームになってるのは俺もそこにいるからって」 心に響く言葉ですね。 京太郎「ですよね。俺ちょっと泣きそうになりましたもん」 京太郎「まぁそんなこともあって、俺も実力が無いなりにチームとしてみんなに貢献しようと思ったんです」 成程。具体的にはどのような? 京太郎「一番変わったのはタコ……料理ですね」 タコ料理? 京太郎「あー……はい。他にも色々と、徐々にレパートリー増やしてる所です」 腕に自信の程は? 京太郎「いやいや、身近にお店で出してる人がいるので、自惚れるような腕じゃないのは身に沁みてますよ」 部内の人ですか? 京太郎「これがまた美味いのなんの。一度食べると病み付きです。料理での目標は、あの人くらいの味が出せる事ですね」 では、最後に何か一言。 京太郎「来年の大会でリベンジしてやりますよ。それこそ東○リベンジャーズのようにね!」 和「ちょっとそこに土下座してください」 京太郎「え? あの、和? 普通そういうのは正座とかでは」 和「顔を見てるとひっぱたきたくなります」 京太郎「…………」ドゲザ 和「はぁ……、須賀君。私が一体何に怒ってるかーーー」 咲「和ちゃん、顔真っ赤にして静かに怒ってるね」 優希「褒め殺しにされた上、好意をインタビューの場で赤裸々に語られて恥ずか爆死してるのと、えろえろ私服を暴露されて、ネットでキツめの呼び名がつけられた怒りとで錯綜してるじぇ」 まこ「『男を誘惑する魔性の乳』『淫乱ピンクのどっち』『天然痴女』……お、新たに『長野が生んだエロの化身』が追加されとるの」 久「ねぇ。同じ所で「こんな良い男の子を辞める寸前まで追い込むなんて信じられない!」「清澄麻雀部部長鬼畜説浮上」「鬼! 悪魔! 竹井!」とか書かれてるんだけど」 咲「京ちゃん……辞めようか迷うくらい思い悩んでたなんて……」 優希「染谷先輩の神フォローが無かったら、気付けないままだったじぇ……」 まこ「いや、わしも辞めようか迷ってたとまでは見抜けなんだな……。あの時のわし、ナイスじゃけえ」 久「聞いて」 和「大体なんですか辞めちゃおうかなって思いもしたって! そういう大事な事を何で一人で抱え込むんですか!?」 京太郎「い、いや、思ってただけで未遂だし、抱え込むって程深刻な段階でも無かったから」 和「思ってただけにしても深刻かどうかはあなただけで決めていい問題じゃありません! 私達の気持ちを勝手に決めつけないでください!」 京太郎「何故だか和に言われたくないんだけど」 和「私はいいんです! けど須賀君は駄目です!」 京太郎「理不尽じゃね!?」 和「顔を上げない!」 京太郎「はいぃ!」 一部反感を買ったものの、SKの主張は多くの共感を呼び、二度目のインタビューも好評となった。 あ、カン忘れてた。カン! 前話 次話
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前話 次話 京太郎インタビューその9 本日はインターハイBブロック準決勝。 あと二、三時間もすれば試合開始ですが、その前にSK君に恒例のインタビューをしていこうと思う。 今回は特別にゲストの方が来ています。 本日はお二方、よろしくお願いします。 京太郎「よろしくお願いします」 由暉子「よろしくお願いします」 はい。SK君へのインタビューで初となるゲストは、有珠山高校の副将、真屋由暉子選手です。 由暉子「ご紹介に預かりました、真屋由暉子です。突然で驚きの方も多いと思いますが、以後お見知り置きを」 先程S君が真屋選手を連れてきて、インタビューに参加させてほしいと言われた時は驚きました。 京太郎「俺も驚きましたよ。さっき一人で歩いてたらいきなり有珠山の人達に出くわして「ユキをインタビューに参加させてくんない!?」ですもの」 彼と交渉してこの席を手に入れた訳ですか。 由暉子「はい。先輩が「頼むよ! なんでもするから! ユキが!」と言って、快く引き受けてもらいました」 京太郎「それあの人が勝手に言ってただけで、俺がそれを受け入れた訳じゃないからね?」 まぁ我々としては話題になるので、ゲスト参加は望む所ですが……、真屋選手は何故このインタビューに参加をご希望されたのでしょうか? 由暉子「目立てるからだそうです」 ハッキリ言いますね。 由暉子「現在この動画は指数関数的に視聴率を伸ばし、今やインターハイに参加、観戦、その他関係者の方々で見ていない人はいないと言われる程です。打倒はやりんを掲げる私達がこれに参加し、話題を掻っ攫わない手は無い。あと面白そうだから、一波乱起こしてやれ、との事でした」 京太郎「もう全部言うじゃん……」 打倒はやりんと言いますが、瑞原はやり選手を敵視しているのですか? 由暉子「敵視ではなく、尊敬しているが故に、ですね」 というと? 由暉子「はやりんはアイドル雀士として、アイドル活動に真摯に取り組みながら、プロ雀士としても第一線で活躍する方です。どちらかだけでも容易く叶えられる事ではない以上、そのどちらも叶えているはやりんは、普通の人には考えられないような、並々ならぬ研鑽を積んできたと思います」 確かにそうですね。 由暉子「そのはやりんをリスペクトするからこそ、打倒はやりんを掲げ、はやりんを超えたい。その意思を胸に、私は頑張っていたいと思っています」 成程。有珠山高校はそのようなお考えで打倒はやりん、と。 由暉子「いえ、先輩方はどうか知りませんが」 そこは嘘でもそうだと言いましょうよ……。 由暉子「根が正直なもので」 由暉子「ですが、動機がどうであれ私を含め先輩方も、打倒はやりんとこの大会に本気で打ち込んでいます」 そうですね。そうでなければ、インターハイ準決勝のここまで、コマを進めることなど出来なかったでしょう。 由暉子「この衣装も揺杏先輩の手作りなんです。どうでしょうか?」 大変可愛らしいかと。S君はどうですか? 京太郎「そうですね。元の素材が良いのもありますが、それを活かしたこの衣装は細かい所にまで手が行き届いていて、職人技が光っていると言えます」 由暉子「ピカピカですか?」 京太郎「ピカピカだな」 由暉子「ありがとうございます。とても嬉しいです。自分の事のように」ニコ あ、今の笑顔すごく良かったですね。 京太郎「おー……」 S君も見惚れちゃいますか? 京太郎「あ、はい。あんまり表情動かない子だと思ってたので、こんな顔もするんだなって」 S君と視聴者のハートをガッチリ掴む、強烈なスマイルでしたね。 さて、今回はどのようにお話を進めていきましょうか。有珠山高校の選手としては度々インタビューをされたでしょうし。 京太郎「そうですねー。この所立て続けだったので、その後印象的な事って言われても困りますし……」 由暉子「そんなこともあろうかと、私達の方でこんなものを用意しました」トン ……カンペ? 由暉子「本来ならパネルを用意したかった所ですが、予算と手間の諸々でこのようなものに」 京太郎「それでどうするんだ?」 由暉子「これは私とS君でこんな話題を話し合えば面白いんじゃないかと、先輩方と一緒に作り上げたテーマ集です」 つまり、話のお題をそれで出していって、それを二人で話し合うと。 由暉子「そういうことです」 京太郎「へぇー。なんだか番組めいてきたな。一昔前のバラエティ感あるけど」 由暉子「それでは早速見ていきましょう。最初のお題はこちら」ペラ 「そこでボケて!」 京太郎「出オチ!」 由暉子「あ、間違えました。これは突然アドリブを振られた時の練習用に使ったカンペですね」 京太郎「ボケてが1ページ目に来る時点で完全にネタ用じゃねーか!」 由暉子「S君は、同年代の人にはそんな感じなんですか?」 京太郎「え? あー……喋り方の事か? まぁ年上の人相手に話してる時は敬語だけど、タメだとこんな感じ」 由暉子「そうなんですね。動画や雑誌だと基本的に敬語だったので、知りませんでした」 京太郎「あんまり馴れ馴れしいのが好かないなら、控えるけど」 由暉子「いえ。ふと気になっただけですので、お構いなく」 京太郎「逆に真屋の方はもっと崩してもいいと思うけどな」 由暉子「私は誰に対してもこんな感じですから」 京太郎「そっか。それじゃあ、気を取り直してお題の方を」 由暉子「はい。えー、これですね。改めて、最初のお題はこちらになります」ペラ 「今日の成香はくまさんパンツを履いている。○か×か」 京太郎「隙を生じぬ二段出オチ!」 由暉子「あ、間違えました。これは爽先輩が暇潰しに作って部内で回答した○×クイズ集でしたね」 京太郎「なんでそんなもん大会の遠征に持ってきてんだよ! しかもクイズに出るってことは、普段はそのパンツを履いてるっていう羞恥プレイじゃねーか!」 お二人の掛け合いで口を挟む余地がない……。 由暉子「それではまた改めて」 京太郎「大丈夫か? 3段ネタは銀○でもそうそうやらないぞ?」 由暉子「今度は大丈夫です。最初のお題はこちらです」 「家族構成は?」 良かった、今度はまともだ……。 京太郎「家族構成って、一緒の家に住んでる家族って考えでいいのか?」 由暉子「はい。私はマンション暮らしの一人っ子で、両親は共働きですね。S君はどうでしょうか?」 京太郎「俺も一人っ子なんだけど、うちって一つの家にじいちゃんから下の親戚が集まってる感じだからなぁ。兄弟姉妹はいないけど、一緒に暮らしてる従兄弟とかは多いってとこ」 どれくらいの人数で暮らしてるんですか? 京太郎「親世代が四人兄弟で八人いて、その下が俺含めて九人なんで、十九人いますね」 そんなに人数がいたら家が手狭になりませんか? 京太郎「うちの家は広々としてるんで、他の親戚が集まって一人一部屋使っても若干余るくらいなんですよねー」 ……もしかしてS君の家って、わりとお金持ちでは。 京太郎「んー。昔は地方の豪族だったとかなんちゃらで大きい家があるってだけです。龍門渕さんとかみたいに今でも大富豪って訳ではないですよ」 それにしてもその人数で生活するのは大変な費用では? 京太郎「あんまり気にしたことありませんが、親世代が結構稼げてるんで、家庭でお金に困ったことは無いですかねぇ」 由暉子「成程成程……」 由暉子「では、次のお題です」 「ペットは飼ってる?」 ペットですか。 由暉子「私は飼っていませんし、先輩方もそうだと思いますが、S君はどうでしょうか」 京太郎「ペットか。飼ってるよ、家に一匹。カピーっていうんだけど」 カピー? 京太郎「カピバラのカピーです」 カピバラ……というと、確かあの毛のある、大きなネズミみたいな。 京太郎「多分それですね」 由暉子「カピバラって飼えるものなんですか?」 京太郎「犬猫よりは準備とか色々必要になると思うけど、まぁうちは広いし、水場も池があるから1から全部って訳じゃあなかったな」 家に池とかあるんですか。 京太郎「はい。動物園だとカピバラは温水プールとか使ってますけど、温まる用なら温まる用でお湯を張った桶を用意するので、普段の水場はそうなります。冬場は小さい池を温められるようにしてますね」 一般家庭にはあまり馴染みのない家庭事情ですね……。 京太郎「手間やらなんやら色々大変ですけど、そこは当番制にしてますから。それにそれだけ愛着もわきますしね」 由暉子「3つ目のお題です」ペラ 「好きな衣装は?」 京太郎「一気に毛色が変わったな……」 由暉子「先輩方から一人一つお題を出してもらう形ですから」 京太郎「好きなって、他人が着てるのを見る分にはってことか? それとも自分で着る分には?」 由暉子「どちらも聞きたいですが、どちらかと言えば見る方ですね」 京太郎「見る方かー……」 由暉子「私は男性の衣装ですと、スーツのようなパリッとした格好が好きですね。カッコいいですから」 京太郎「それは同意するけど、手足が長くないと中々カッコよくならないから、平均的に短足が多い日本人男性だと難しいんだよなぁ」 由暉子「S君は長い方だと思いますが?」 京太郎「俺の男友達もこれくらいはあるけど、みんな背の順で並ぶと最後の方になるからなぁ」 基準にはなりそうにないですね。 京太郎「見る分で好きなのは、やっぱこう、女の子してる落ち着いた感じかなー。白いワンピースとか」 童貞っぽいですね。 京太郎「黙らっしゃい」 由暉子「男の人は肌面積の多い過激な衣装が好きだと聞きましたが?」 京太郎「まぁ大多数はそうだし、俺も好きだけど。個人的にはあえて主張しようとせず、清楚な雰囲気を醸し出してて、それでも尚隠し切れない身体の凹凸の存在感とかにグッと来るんだよ。ちょっとフェチっぽいけどさ」 由暉子「清楚な雰囲気と、隠し切れない凹凸の存在感、ですか」ムニムニ 京太郎「バッチリくっきり存在感出してるから、持ち上げて揺らすのは止めなさい」 由暉子「それでは最後の質問です」ペラ 「アイドルの恋愛について」 京太郎「めっちゃデリケートな質問来た!」 これ動画にして大丈夫なんでしょうか……? 由暉子「私はアイドルは恋愛御法度だと言われているので、そういうものだと思っているだけですが、S君はどうお考えでしょうか?」 京太郎「うーん……。俺は正直ファンって言える程アイドルに打ち込んだ事ないし、あまりアイドルが恋愛する事にアレルギー反応みたいなの起こす人の気持ちが分かんないかなー」 好きな人が実は彼氏がいたとか、嫌じゃないですか? 京太郎「そりゃあ嫌ですしショックですけど、一般的な恋愛とアイドルのそれは話が別だと思うんですよね。そもそもアイドルは歌やダンス、見た目の良さをエンタメとして提供する仕事であって、ファンがお金を出すのはそのエンタメに対しての筈ですよね? なのにファンがアイドルに求めているのはもれなく聖女みたいな感じで、いまいち共感を得られないというか」 まぁ、確かにそうですが……イメージというのもありますし。 京太郎「イメージで言うなら、逆に男性経験豊富なアイドルってのもキャラクターとしてはアリだと思うんですよね。俺に刺さるかどうかは別としても、需要はあるんじゃないかと」 ファンがアイドルに処女性を求めるのは間違っていると? 京太郎「間違っているとまでは言いませんけど、仮にアイドルが恋愛をしてたとして、それが真剣な気持ちならファンとしても応援してあげるべきだと思いますし、イメージと違ったからとファンを辞めるなら勝手ですけど、そのアイドルを非難するのは正直器が小さいんじゃないかなーって」 ファンになった経験無いとの事ですが、結構語りますね……。 京太郎「まぁーマンガとか読んでるだけでもそういう重めの話題とか出来事について考えさせられる機会はありますからね」 由暉子「S君としては、アイドルは恋愛をしてもいいだろうというスタンスですか?」 京太郎「ちょっと違くて、恋愛をするのは悪くないけど、自衛の為にはしないでいた方がいいって感じか?」 由暉子「? 自衛、ですか?」 京太郎「女の子は夜に一人で出歩くなって言われるだろ?」 由暉子「はい。言われますね」 京太郎「これは危ない人に襲われる危険があるから、女の子は出歩かないでおけっていう忠告なんだと思うけど。じゃあ夜出歩いてしまって、危ない人に襲われたとして、悪いのは出歩いてた女の子の方か?」 由暉子「いえ。その危ない人ですね」 京太郎「まぁ女の子も無防備だったのは否めないけどさ、そもそも夜出歩いてただけで女の子に襲いかかるような人間がいる事自体が問題なわけじゃん?」 由暉子「はい」 京太郎「けどその危ない人や心無い人は言うんだよ。「こんな夜中に出歩いてたのが悪い」って」 由暉子「ひどいですね」 京太郎「騙したのは自分の癖に「騙される方が悪い」とか言い出す人間の言い草なわけだよ。 アイドルだって恋愛禁止かどうかは事務所が決めるもので、ファンがどうこう言うのはイメージの押し付けじゃないかと思う。けど世間にはそれが正しいと信じてて、中にはイメージ裏切られたらアイドルを平気でバッシングしたり直接危害を加える人もいるもんだからな。 そういう人達から身も心も守る為に、そもそも恋愛しないってのが一番安全だと思う」 由暉子「成程……」 京太郎「色々言っちゃいましたけど、これ動画で流して良かったんですかね?」 どうでしょう。そのまま使うかは私だけでは判断出来ないので、こちらで相談して決めますね。 由暉子「一般的に正しいか正しくないかは私には分かりませんが、考えさせられる意見でした。ありがとうございます」 京太郎「真屋には今好きな人とかいたりするのか?」 由暉子「いいえ。今の所そういう対象はいないですね」 京太郎「まーアイドルともなれば言い寄ってくる男は多いと思うけど、アイドルの事情も考慮して誠実に付き合えるやつが見つかるといいな」 由暉子「どうでしょうか。恋愛そのものに憧れが全く無いわけではありませんが、先輩方と作り上げたアイドル像を捨ててまで、とは思えないので」 分かりませんよ? これからそれだけ好きになる男の子と出会うかもしれません。 由暉子「はあ」 では、最後に何か一言。 由暉子「それでこの後、私はS君に何をすればいいんでしょうか?」 京太郎「だからその話は無かった事にせいと言っとろーが!!」 前話 次話
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部室 ガチャ 塞「アレ?2人だけ?」 京太郎「はい」 胡桃「ん」充電中 塞「……胡桃は充電として、京太郎は何やってんの?」 京太郎「まだ時間あるんで今日出された宿題を…」 胡桃「そこ、間違えてる!」 京太郎「え、どこですか?」 ガチャ 白望「……ダル」 エイスリン「オソクナッタ!」 胡桃「別に大丈夫だよ」充電中 塞「ちょうど揃ったし打つ?」 京太郎「じゃ、俺が先に打ちますね?」 胡桃「りょーかい」 ガチャ 豊音「お、遅くなってゴメンね?」 胡桃「んー……いいよー」充電中 白望「それ、ロン」 胡桃「うっ……」 京太郎「あーあ」 豊音「お茶淹れるねー」 塞「じゃ、今日はここまでねー」 豊音「お疲れさまー」 エイスリン「オツカレサマ!」 胡桃「うーん、今日は勝てなかったなー」充電中 京太郎「そうですねー」 白望「…………いつまでやってんの?」 3人「!?」 胡桃「……あ!」 京太郎「しっくりきすぎて忘れてました……」 胡桃「充電しすぎたねー」 京太郎「ですねー」 4人(早く付き合えばいいのに) カンッ!!
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前話 次話 京太郎インタビューその3 前回期せずして清澄高校の素顔を知ってしまった取材班。 SK君に取材すると、我々の知り得ない情報が出てくる。麻雀とは関係無い所だが、非常に興味深い。 今回は、彼から見た他校について窺ってみよう。 今回で三回目になりますが、取材には慣れて頂けたでしょうか? 京太郎「そうですね。現実感はまだそんなに無いですけど、最初よりは話しやすくなったかなと」 一度目でとても流暢に話せていたように思いますが? 京太郎「見た目だけですよ。俺、緊張すると自分でも考えずに喋って余計な事まで話しちゃうタイプなんで」 成程。では、お気に入りエキサイト本の隠し場所は? 京太郎「そんなとっておきの秘密をベラベラ話す程じゃないですよ!?」 冗談です。 京太郎「はぁ……。まぁ、こうやって話上手な人だとつい乗っちゃって口が軽くなるってのもありますかね」 ありがとうございます。それでは、質問に移りますね。 長野県県大会決勝、SK君も記憶に新しいと思います。 京太郎「おお……なんか凄かったですよね。特に大将戦とか」 清澄を除いた3校では、誰が一番印象的でしたか? 京太郎「衝撃的な印象って言えば、やっぱり天江衣さんですね。うちの麻雀部の中でも咲って麻雀ではとんでもない事やってくれるスゲー奴って考えてたので、その咲が最初全然歯が立ってなくて」 その強さに圧倒された? 京太郎「まぁその後またとんでもない逆転してたから、咲ってやっぱスゲー奴だなって思い直しましたけどね」 その高校生らしからぬ容姿と雰囲気から、巷では「ころたん可愛い」「ころたん天使」「ころたん! 最高!」「イエイイエイ! ころたん! 最高!」「オマエもころたん最高と叫びなさい!」ともっぱらの噂ですが。 京太郎「それころたん最高! って言えば出てくる悪魔かなんかですか?」 S君から見てはどうでしょう? 京太郎「はぁ……まぁ高校生らしからぬと言えばそうなんですが、うちにも似たようなのいますしね」 あまりお好みではない? 京太郎「年上なのは分かってますし、可愛いとは思うんですが、好きかどうかを議論すると俺が危ないですから。色んな意味で」 危ない? 京太郎「社会的生命だったり、物理的生命も何の前触れ無く終わったり……いや、やめましょう」 衝撃的な印象で言えば、と言ってましたが、他にも印象に残った選手がいたのでしょうか? 京太郎「そうですね。けどその人達はちょっと麻雀とは関係無い所で印象に残ったという感じなので」 良ければお聞かせ願えますか? 京太郎「えぇー……。じゃあ、どの高校の人から聞きたいですか?」 各校に少なくとも一人ずついる? 京太郎「そんなとこです」 それでは……風越女子からはどなたですか? 京太郎「風越の人だと、主将の福路さんになりますかね」 やはりそのスタイルの良さに見惚れましたか? 京太郎「ええ。存在感はありながら主張し過ぎず、あの人の清楚な美しさを最大限に表現する様は最早芸術てバカ!」 本音が思わず漏れましたか? 京太郎「ノリツッコミですよ!」 そういうことにしておきましょう。 京太郎「インタビュー重ねて遠慮が無くなってきたのはあなたの方では……?」 京太郎「で、何で印象に残ってるかって言うとですね。大会終わってからというものの、うちの部長と仲良くなってるみたいで、バイト先の雀荘で一緒に打っているのを結構見掛けるんですよ」 バイトをなさっているんですか? 京太郎「食いつくとこそこですか……? ええまぁ、女性の従業員はメイド服なんで、俺は執事の燕尾服を着させてもらって」 燕尾服。似合いそうですね。 京太郎「知り合いに比べたらレベルの低いコスプレみたいなもんですよ。それで、会話とかはしなかったんですけど、話し声が聞こえてきたり部長からどういう人か聞いたりで、芯のある優しい人なんだなってのが伝わってきまして。うちの先輩並に料理も美味いと聞きましたし」 料理の出来る子が好きですか? 京太郎「いいですよね、家庭的な女の子。家に帰ってきた時に「お帰りなさい」って温かく出迎えられるのは男の夢の一つですよ」 そうなると、福路さんはS君の理想に近い? 京太郎「それ以上ですね。美人で優しくて家庭的で……、そんな人二次元だけって思ってました」 福路さんと言えば、彼女は珍しいオッドアイを持っていますね。 京太郎「あぁはい。左は赤めですけど右は青いんですよね」 S君はどう思いますか? 京太郎「オッドアイについてですか?」 はい。 京太郎「オッドアイそのものについては、そうですね……。中二心を擽られるワードっていうか」 S君にもそういう所が? 京太郎「男にはいくつになっても決して消えることの無い14歳の部分があるんです」 そんなものですか。 京太郎「そんなものです」 福路さんのオッドアイについてはどうでしょう? 京太郎「んー……。福路さんがそれを普段隠しててコンプレックスに思ってるみたいなのは、あんまり良い気がしないですね」 と言いますと? 京太郎「ほら。俺ってタッパがデカくて金髪だから、軽いとかチャラいとか不良とか思われやすいんですよね」 私共からはとてもそうは思えませんが。 京太郎「話してるとイメージ違ったとかも良く言われます。で、軽いのはいいんですよ。自分でもそんな風に振る舞ってる所ありますし。けどチャラいとか不良とかって、金髪でデカいだけでそんな風に思われるのって良い気はしないですよ」 悪い偏見は気分良くないと。 京太郎「誰だってそうだと思いますけどね。福路さんが片目閉じてるのも、自分がそう思ってるだけなのか周りから言われたのかは分かりませんが、生まれつきの所でコンプレックス抱えて隠してるのだとしたら、周りがちゃんと変じゃない悪くなんかないって言ってあげないと」 S君もそうしてコンプレックスを乗り越えた? 京太郎「いやぁ、俺はコンプレックスって程でもないですし、図太い性格してるから開き直ってるんで。おう文句あっかって感じです」 その言い草は不良っぽいですね。 京太郎「あっはっは」 彼女の右の瞳についてはどうコメントしますか? 京太郎「澄んだ蒼い海のよう……なんてのは洒落過ぎなんで、とても綺麗ですって言いますかね」 鶴賀女子の方ではどなたでしょう? 京太郎「副将の東横桃子さん……まぁ同い年なんですけどね」 …………。 京太郎「? どうしました?」 いえ、あの……どういう方だったでしょう? 京太郎「記憶にすら残っていない!?」 いえ、鶴賀女子の副将と言えば、原村和さん含めた実力派揃いの中で活躍した方なのは知っているんですが、どんな顔だったかが思い出せず……。 京太郎「あー、そこなんですよね。気になった所」 記憶に残ってない事が逆に? 京太郎「いや、うちの部員も記者さんと似たような事言うんですよ。対戦してた和以外は「いつの間に!?」とか「今リーチしてたか?」とか言ってて。対局での流れとか正直分かんないですけど、その俺以上にみんなが東横さんの手を見てなかったんですよね」 ……S君には東横さんの手が見えていた? 京太郎「読めたとかそういうんじゃなくて、何捨てたとかそのレベルですけど……ええ。でも、みんな見えてましたよね? すっとぼけるみんなに、和もそんなオカルトあり得ませんって言ってたし」 ……………………ちなみに、S君から見て東横さんはどんな人でしたか? 京太郎「制服と黒髪で全体的に黒くて、和程目立つタイプじゃないけど、負けず劣らず可愛い子でしたよね」 ……………………そうですか。成程。はい。 京太郎「さっきから反応悪いですけど……どうかしました?」 気を取り直して……龍門渕高校だと、どなたが印象に残ってますか? 天江衣さん以外で。 京太郎「えー……これはほんとに個人的な話になりますけど、いいですか?」 お気になさらず。なんなら一目惚れしたとかの方が記事として面白いくらいあります。 京太郎「いやそういうんじゃないですけど…………。あそこだと、龍門渕透華ですかね」 ほう。副将戦で目立ちたくて目立ってたような振る舞いをしてたあの人ですね。 京太郎「それとは関係無い所でなんですけど、実はうち、長野の決勝で戦った4校で合宿したんですよ」 それは初耳ですね。 京太郎「初めて言いましたからね。で、まあ俺はその時お留守番だったんですけど」 ハブられたんですか? 京太郎「女子だらけのお泊りもする合宿に男連れてけってのも無理があるでしょ……。そんで清澄の部室でネトマしてたり友達と遊んでたりしてたんですが、ある日の朝部長から「須賀君、悪いけどうちにあるパソコン持ってきてくれない?」って連絡が入りましてね」 パソコン。 京太郎「持ってきてって言うから、ノートパソコンとかそういう持ち運び出来る軽いのを想像しますよね?」 ええ、それはもちろん。……ん? 京太郎「その時の俺もそうだと思って、軽い感じで「了解っす」って返したんですよ。で、部室の方に行ってそれらしき物を探したんですが、隅々まで探してもノートパソコンなんて影も形も無かったんです」 おや? 話が不穏な方向に。 京太郎「改めて部長に連絡してみて「パソコンどこですか?」って聞いたら、「いつもの机の上にあるでしょ?」って返されて。けどいくら見てもあるのはデスクトップのあるデカいパソコンだけだったんですね」 まさか……。 京太郎「で、気付いちゃったんですよ。「この人、このデスクトップパソコンを山にある合宿所まで持ってこいと言ってるな」って」 失礼ですが、部長さんは鬼ですか? 京太郎「いや、部長も多分無理だろうなと思って連絡したらかるーく請け負られたもんで、「あ、いけるんだ」って思っちゃったんでしょうね。放心して黙ってたら「あった? じゃ、よろしくー」つって通話切っちゃって、何回か掛け直したんですけど出なくなっちゃって。もうどうしようもないから、合宿所に行く事にしたんですよね」 大会後の炎天下の中、デスクトップを背負ってですか? 京太郎「まぁ、流石に直で歩きは無理なんで、電車とバスを乗り継いでですけどね」 ちなみにその交通費は。 京太郎「? 自腹ですけど」 …………そうですか。 京太郎「えっちらほっちら歩いてって、なんとか合宿所まで持って行って、受け取ってもらった後、そのまま帰ろうとしたんですけど」 待ってください。合宿所で休憩はしなかったんですか? 京太郎「いいえ? 玄関口で渡してそのまま」 ……はい。では続けてください。 京太郎「お互いのディスコミュニケーションのせいとはいえ、流石に疲れて心が荒みそうになって時に、後ろから「お待ちなさいな!」と声を掛けられまして」 ああ。ここで龍門渕さんが出て来るんですね。 京太郎「振り返る前にそうと分かって実際そうだったんですが、その人は腕組んでふんぞり返りながら「見た所疲労困憊の様子ですわね! そのような者を門前払いでそのまま帰らせたとあっては龍門渕の名折れですわ! というわけでハギヨシ。この少年を送り届けてらっしゃいな」と」 やだカッコイイ。 京太郎「ですよね。それで、指パッチンと同時に瞬間移動で現れたハギヨシさんが「承知しました」つってまた消えた後、すぐに黒塗りの長い、見るからにセレブ御用達の車に乗って来たんですよ」 もう色々ツッコみたい事ありますけど、それはいいです。 京太郎「そんで、あれよあれよとそれに乗せられて、現実味の無い車の中で現実味の無い接待を受けたんですよね。運転は別の誰かがやって、ハギヨシさんから直々に」 具体的にはどのような? 京太郎「横になって転がっても余裕で余りあるスペースに、車でこんなの使っていいの? ってぐらい柔らかいソファと、涼しくて気持ちのいい冷房を利かせて、車内冷蔵庫からキンッキンに冷えたジュースを取り出して、ワイングラスに注いでもらったりとか、ですね」 本当にあるんですね、そういうの。 京太郎「白昼夢でも見てて、現実の俺は熱中症で倒れたのかと本気で疑ったくらいですからね。頬抓っても痛いだけだったんですが」 そのように送り届けてもらった事から、龍門渕さんに良い印象を持ったと。 京太郎「大富豪さんの気前の良さって嫌味になることありますけど、あの人の場合は良い方向に発揮されてるなって思いました」 先程燕尾服は知り合いに比べたら、と言っていましたが、もしやそのハギヨシさんが? 京太郎「ええ。もう燕尾服と共に育って来たんじゃないかってぐらいに似合ってる執事さんでしてね。庶民の俺相手でも非の打ち所がない丁寧さで接待してくれたんですよ。かといってお堅い訳でもなくて、むしろちょっとユーモア出してこっちを楽しませてくれたり」 執事となるべく生まれてきたかのような人ですね。 京太郎「俺もそう思って似たような事言ってみたら「当然です。私は龍門渕家、透華お嬢様にお仕えする為に生を受けた身ですから」って」 そんな漫画みたいな。 京太郎「ところがそれが冗談でもなく、どうやらあの人の家って代々龍門渕家の人の専属使用人を輩出してきたとかで、使用人の家系らしいんですよね。ハギヨシさんは年の近い龍門渕さんにお仕えしてると」 となると、本当に生まれた時から執事として訓練を? 京太郎「俺もそれってどうなんだ? って思いましたけど、ハギヨシさんは「私自身この生き方しか知りません……と言えば不幸にも聞こえるでしょうが。執事として生きてきた事、これからもそうである事に悔いも歯痒さもありません。何よりお嬢様は素晴らしき御方ですから」って言うんですよ。それが本心から言ってるのは、見て分かっちゃいましたね」 生まれなど関係無く、性根から執事に向いていた……、と思えばいいんでしょうか。 京太郎「って言っても俺自身はちょっと納得いかないんで、帰り際寄り道させてもらって、ゲーセンに連れていきました」 それはまた何故? 京太郎「ハギヨシさんにも聞かれたんですけど、他の生き方を知らないままでいるよりも、知った上で龍門渕さんにお仕えする事を選んでるって思ってもらえた方が、龍門渕さんも気分良く主人として振る舞えるんじゃないかなって。なのでここは一つ、男子高校生の庶民的な遊びをと思いまして」 成程。それで、その執事の方はゲーセンでどのような様子でしたか? 京太郎「多分あの人こそ人間じゃないです」 人間じゃない。 京太郎「ゲームの説明は俺や機械から熱心に聞き取ってたんで初めての筈なんですが、スコア系のゲームは全国ランキング一位のパーフェクトゲーム。対戦型のゲームは俺やその場にいた腕自慢の人交えても無傷の完勝。メダルゲームやスロットでもちょっと目ぇ離した隙に容器の数が倍々に増えていくんですよ。それなりに時間経った今でもその伝説は塗り替えられてないんです」 天からいくつ貰ったんですかその人。 京太郎「それ全部を「執事ですから」で済ませようとしてたんで、あの人執事の常識が世間一般とはかけ離れてるかと」 完璧超人過ぎて少し変わった人なんですね。 京太郎「けどまぁ、結構楽しんでもらえたみたいなんで、それをきっかけに個人的に仲良くなりまして。それからちょいちょい連絡を取り合って教え合う仲になりました」 執事さんはそのスキルを、S君は男子高校生の遊びを教え合う。そんな関係になったんですね。 京太郎「まぁ教えた事の悉くが始めた時点で超えられますがね……」 では、最後に何か一言。 京太郎「もうすぐ全国大会なので、みんなを精一杯サポートしようと思います」 前話 次話
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俺は今、岩手に来ている、俺は照ちゃんに勇気をもらった。 だからもうちょっと頑張れる……頑張れる気がした。 そして宮守女子高校に着く、俺が居たときとはやっぱり違うんだな。 ともかく校門を潜って麻雀部に顔を出す。 ???「ダレ?」 京太郎「エイスリン先輩?」 エイスリン「?」 京太郎「あ、あの俺、ちょっとここに用事があって。」 エイスリン「オキャクサン?」 京太郎「まぁ、そんなところです。」 本当はお客さんと言うのも憚られる、元々俺はここにいたので客と言うより家人に近いのだが…… 塞「あれ?誰?」 エイスリン「オキャクサン!」 塞「そうなの?」 俺を支えてくれた人が居た。 京太郎「須賀京太郎です。」 塞「初めまして、臼沢塞です。」 京太郎「……こちらこそ。」 照ちゃんでわかっていたはずなのにな。 やっぱり辛いな…… 塞「あの、どこか具合が悪いんですか?」 京太郎「……いえ、大丈夫ですから。」 シロ「ん……」 塞「あ、シロ。」 京太郎「こんにちは。」 俺が迷った時に道を教えてくれた人が居た。 多分この人も覚えていないだろう、何よりそういうことが煩わしいと思うような人だ。 シロ「ちょっと失礼……」 この人はいきなりこっちにやってきて、こともあろうか俺の背中に登り始めた。 塞「ちょ!?ちょっと!?シロ!?」 シロ「凄くフィットする……」 京太郎「……そうですか。」 体のダル気はどうやっても変わらないようだ。 まったくこの人と来たら…… 半ば呆れ気味だったが嬉しかった。 心のどこかに、体の記憶に、少しでも俺のことが残っていたのかと思うと。 胡桃「こんにち……わっ!?」 トシ「おやおや珍しい人が来たもんだねぇ。」 豊音「えー?どうしてシロが男の人に乗っているのー?」 俺と手を繋いでくれる人が居た。 京太郎「その、成り行きで?」 シロ「私の体が彼の体を必要しているの。」 胡桃「!?」 豊音「か、過激だよー!」 京太郎「ちょ!?シロさん!?誤解を招くような言い方はやめて!」 トシ「ちょっと見ない内にとんだことになっていたみたいだねぇ。」 塞「この人は熊倉先生の知り合いなんですか?」 トシ「知り合いと言えば知り合いかねぇ?」 京太郎「!?」 トシ「ただ、最近歳を取ったせいか物忘れが酷くて……」 京太郎「…………」 相変わらずよく分からない人だ。 トシ「ただあんたたちが打てば思い出すかも……」 塞「それじゃあ私が入りますね。」 シロ「ダルいけど仕方ない……」 豊音「私も打つよー!」 この人たちと打つのはいつ振りだろうか。 一緒に卓を囲んだのはいつ振りだろうか。 そんな事を思い出すより先に今を楽しんでおきたいと思ってしまった。 シロ「よろしく……」 塞「よろしくね。」 豊音「よろしくだよー!」 京太郎「よろしくお願いします。」 いつものように打ち、いつものように本気で能力を使って当たりあい。 まるであの日が戻ってきたようだった。 「「「「ありがとうございました。」」」」 トシ「どうだい?何かわかったかい?」 塞「なにか前に打ったことあるような気が……」 シロ「ダルい……」 豊音「京太郎君と打ってると楽しいよー」 胡桃「それで熊倉先生、この人は誰なんですか?」 トシ「ああ、こいつはね、私の放蕩息子みたいなものさ。」 トシ「あとついでに放浪癖もあるねぇ。」 トシ「そんな勘当同然な息子は今まで忘れてしまっていたわ。」 京太郎「ひっでぇ……」 絶対この人は最初からわかっていた。 その上でとぼけて打たせたのだ。 本当に食えない人だ…… 豊音「でも、京太郎君と打つのは楽しかったよー。」 そう言って豊音さんは椅子から立ち上がろうとしてふらついた。 気付いたら手を伸ばしていて、豊音さんの手を掴んでいた。 初めて豊音さんと会ったあのときのように。 京太郎「危ない危ない。」 豊音「あ、ありがとー」 豊音「やっぱり京太郎君はいつも私を助けてくれるんだー。」 京太郎「俺の事を思い出したんですか……?」 豊音「だって初めての友達だもん……」 シロ「おんぶ……」モゾモゾ 塞「また!?」 シロ「だって京太郎は『いつでも背中を貸す』って言ってたし。」 京太郎「!?」 京太郎「シロさん……いつから思い出してたんですか?」 シロ「さて、いつからでしょう……」 この人もなんだかんだで食えない人だった…… エイスリン「…………」カキカキ エイスリン「キョータロー!コレ!」バッ そういえばさっきからエイスリン先輩が何か描いてたな。 京太郎「これ……って。」 エイスリン「ミンナ、イッショ!」 俺を含めて宮守のみんなが道を歩いている絵を見せてくれた。 あの時描いてくれた絵と瓜二つだ。 京太郎「そうですね、みんなで帰りましょう。」 胡桃「??」 トシさんがみんなを引き連れて道を行く。 道に怖いものがあるなら胡桃先輩が隠して。 道が無いならエイスリン先輩がそこに道を描いて。 道がわからないならシロさんが道を決めて。 道に穴があるなら塞さんが塞いで。 そうやって道が続いたなら豊音さんに手を引いてもらう。 豊音さんは俺が豊音さんを救ったと思っているみたいだが…… 「京太郎君と手を繋げると、ちょーうれしいよー!」 やっぱり、救われたのは、実は俺の方だったみたいだ。 【もう一度、描いて紡いだ道】 京太郎(宮守)・豊音「「もういっこカン(だよー)!」」
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早朝 ??「……っ…」 京太郎「……」首を動かして状態確認 霞「…zzz」 初美「……zzz」 京太郎「…とりあえず抜け出すか」 ゴソゴソ… 京太郎「朝ごはんとお弁当…良子義姉さんも大事な試合があるし、霞さん達は今日帰るしな…人数分作らないと」 京太郎「朝ごはんとお弁当ができたぞ」 朝 京太郎「何をしようか」 カピー「パカパカ(どうした?」 京太郎「いや、何をしてるのかなって」 カピー「パカパカ(見ての通り、大人しくしてるのだ」 京太郎「姫様達が居るからか?」 カピー「パカパカ(違う、マンゴーの為だ」 京太郎「本当に欲望に忠実だな」 京太郎「あのさカピー、妹尾さんと仲良くなるにはどうしたらいいんだ?」 カピー「パカパカ(あの歩く幸運と仲良くなりたいのか?主、私に神託を聞くのがつるぺたか爆乳なのかはどうにかならないのか?」 京太郎「き、気のせいだろ」 カピー「パカパカ(まあいい…あの女と仲良くなりたいと言っても十分だろ」 京太郎「そうか?」 カピー「パカパカ(果実の譲渡まで済ましてる相手だ…あとはどうにでもなるだろ」 京太郎「……」 京太郎「う?ん…」 カピー「パカパカ(あーもう面倒だな。あのラーメン女の事だな」 京太郎「ラーメン?いや、ダヴァンさんの事だけど」 カピー「パカパカ(強制力が一つあるし、ラーメンを食べに行けばいい。東京なら?ラーメンと?ラーメンとかがお勧めだな。もしくは主の手料理とかでもいいぞ」 京太郎「なんだそれ?」 カピー「パカパカ(胃袋を制すれば勝つということだ」 サイドストーリー 義姉とはやりのお話☆ 合宿後 健夜「それで話って何かな?」 良子「一応、スケジュールがあるんですが…」 はやり「すぐ終わるから大丈夫だよ☆あのね…二人はなんで未来の記憶があるのかな☆?」 健夜「未来の記憶?何を言って…」 はやり「誤魔化してもダメだよ☆私、聞いたんだから」 良子「…盗み聞きですか」 はやり「偶々、聞こえたんだよ☆それに岩手の人達も記憶があるんだね☆」 健夜「仮にそうだとしても貴女には関係ないです」 はやり「それがあるんだよ☆私ね、京太郎と結婚したいんだ☆」 良子「はっ?」 健夜「えっ?」 はやり「だからね、未来の記憶にしがみついてる貴女達が邪魔なの☆」 健夜「何を言ってるのかわかってるんですか?」 良子「貴女の父親は京太郎の…」 はやり「京太郎はそれを赦すって言ってくれたから良いんだよ。それにね…貴女達も京太郎に隠してるよね?」 健夜「っ…!」 良子「っ…!」 はやり「記憶に縋って京太郎を手にいようとするなら私は貴女達を認めない」 健夜「それは貴女に記憶がないから…」 はやり「関係ないよ。私は今の京太郎が好きなんだ。あったか解らない記憶の京太郎なんかに恋い焦がれなんかしない」 良子「私達も今の京太郎が…!」 はやり「本当かな☆京太郎の中に都合の良い京太郎を本当に見てないのかな」 健夜「…」 良子「それは…」 はやり「話はそれだけだから、それじゃあね☆」 スタスタ… はやり「ああ、忘れてた☆これも言っておかないと☆」 はやり「********♪」 はやり「それじゃあね☆」 霞「これは?」 京太郎「お弁当ですよ」 霞「いや、それはわかるけど…」 京太郎「折角岩手に来たのにおもてなしができてなかったから」 霞「ありがとう…大変だったんじゃないの?」 京太郎「そうでもないさ。作りがいがあって楽しかったよ」 霞「ふふふ…京太郎らしいわ」 京太郎「なんだそれ」 霞「いえ、貴方は変わらないと思っただけよ」 京太郎「?」 霞「なんでもないわ。それより私達も全国に行くから、その時に御礼しないとね」 京太郎「いや、今回は俺が頼んだから…」 霞「それもそうだけど、お弁当は頼んでないわ」 京太郎「それもそうだけど…」 霞「なら御礼しない。期待しててね」ニコニコ 京太郎「は、はい」 昼 京太郎「姫様達、起きてこなかったな」 白望「ダルい…」 京太郎「お、おう…なんでベンチで項垂れてるんだ」 白望「なんとなく…」 京太郎「そうか…お昼は?」 白望「忘れた」 京太郎「待ってたな…」 白望「……」目空し 京太郎「全く…今日は気合いをいれて作ったから量はあるぞ」 白望「やった…」ニコ ーーーーーーーー 白望「あーん」 パク…もぐもぐ 京太郎「美味いか?」 白望「うん…なかなか」 京太郎「素直じゃないぞ」 白望「少し味が薄い」 京太郎「あっ、そうだった」 白望「まだまだだね…あーん」 京太郎「くっ…精進するか」 放課後 京太郎「今日の夜に飛行機で大阪だ…今日はどうしたものかな」 京太郎「よし部活に行こうか」 京太郎「なんか久しぶりだな」 京太郎「俺の必殺技を教えよう」どや顔 豊音「あの槍の事?」 京太郎「ああ、今の豊音になら理解してくれる気がするからな」 豊音「頑張るよ!」 豊音「それでどうしたらできるの?」 京太郎「念じる…?」 豊音「えっ?」 京太郎「いやだから…こうなんと言うか念じたらできる」 豊音「そんなんじゃあわかんないよ…」 夕方2 京太郎「ただいまー」 シーン… 京太郎「あっ、そっか、誰もいないのか」 京太郎「あれ机の上に何かあるぞ」 京太郎「これって御守りかな?…手紙もある」 京太郎へ 泊めてくれた御礼に御守りをを置いていきます。中身は絶対に見てはダメですよ。見たら呪いますからね。 初美より 京太郎「……何が入ってるんだ?」 ーーーーーーー 初美「今頃見てるんでしょうか?」 霞「どうでしょうね」ニコニコ 夜 京太郎「大阪行きの飛行機はこれだな…ふぅ…やっと一安心だな。まだ時間はあるな」 京太郎「トキさんにメールしてみるか?」 京太郎「そういえば麻雀を打つ約束をしてたな……とりあえずそれについてと大阪に今から向かう事を言っておくか」 From トキ 連絡無いから捨てられたと思ったわ( *`ω´)? 予定通り、明日の昼頃に難波の雀荘で打つんでいいんかな? 京太郎「…この前もこのどや顔があったぞ。それで大丈夫ですよっと…」 From ?トキ 了解やで。身内の三人も楽しみにしとるし、お手柔らかに。 京太郎「あれ…三人なら一人余るんじゃ無いのか?」 From トキ 一人はデータが取りたいらしいから大丈夫やで。 京太郎「データね…」 アナウンス「間もなく…」 京太郎「あっ、やばいそろそろ時間か」 京太郎「それじゃあそろそろ飛行機に乗るので、おやすみなさいと…」 From トキ 気をつけてな。明日は楽しみにしとるから! 夜2 関西国際空港付近ホテル 京太郎「チェックインの為に名前を出しただけで態度が変わったぞ…恐るべき龍門渕」 ーーーーーー 朝 京太郎「……なんか虚しいな」 京太郎「外で食べるか…待ち合わせは昼前だったからとりあえずラピッドβに乗って難波に行って…」 ーーーーー 難波 京太郎「人が多い…いや当たり前か。スタバで朝食を済まして、適当にぶらつくか」 京太郎「リクロおじさんのチーズケーキか…食べて見たいな」コーヒーを飲みながら携帯で情報をチェックして 雅枝「阿呆らしいは…全く。もうすぐ大会が近いのにレギュラー四人が今日は用事があるとか急に言いおってほんまに…明日とっちめたろ」 京太郎「うん…?」顔をあげて 雅枝「……」目が合う 京太郎(なんだか嫌な予感がする) 雅枝(何処かで見たことが…気のせいか) スタスタ…歩き去っていき 京太郎「なんだったんだろ」席を立ち店を出る、 雅枝「何処かで……あっ!あっ、あー!洋榎の思い人や!」慌てて戻り 雅枝「逃げられた!」 昼1. 京太郎「場所はここであってるんだよな…」 ??「あ、あの」 竜華「京さんであってますか?」 京太郎「そうですけど…貴女がトキさん?」 竜華「いや、ウチは違うねんけど…トキはちょっと寝坊で…」 京太郎「ハハ…トキさんらしいですね」 竜華「怒ってないんですか?」 京太郎「何をですか?」 竜華「いや、トキが遅れてきてる事とか…」 京太郎「怒ってませんよ」 竜華「えっ?」 京太郎「誰にだってこんな事はありますよ…えっと…」 竜華「あっ、清水谷です」 京太郎「清水谷さんか…俺は……どっちがいいんだろ?トキさんの友達だから…京って呼んでください」 竜華「わかったで」ニコニコ 竜華「京さんは何回か大阪にきた事があるんや」 京太郎「ええまあ、家族と何回か」 竜華「そうなん…旅行かなんか?」 京太郎「義姉の応援でですね」 竜華「応援?」 京太郎「はい、大阪でよくタイトル戦があるので」 竜華「それって京さんのお姉さんが…」 セーラ「おーい、竜華」 竜華「えっ?あ、皆やっときたん?」 浩子「園城寺先輩が走ったらもう少し早かったんですが…」 怜「酷!病弱やからしかたないねん…あの京さんであってるんかな?」 京太郎「ええ、そうですが…初めましての方がいいのかなトキさん」 怜「いやあの、その…トキで大丈夫やで」 京太郎「ならトキって呼びますね」 怜「うん…それであの…遅れてごめんなさい」 京太郎「気にしてないかべつにいいですよ」 セーラ「なんやあれ、怜が萎れてるで」小声 竜華「解らへん…ウチもあんなん初めてや」ごめん セーラ「船Qはどう思う…どうかしたんか?」小声 浩子「予想通りやった…園城寺先輩の言っていた事と京ってHN…岩手の大魔王須賀京太郎…」京太郎を見ていて セーラ「大魔王って個人戦歴代1の得点を上げたあの?」小声 浩子「そうです。今週は女子麻雀個人があるから違うと思ってたんですが…写真そっくりです」小声 セーラ「ならあの兄ちゃんは麻雀強いんか?」小声 浩子「男子最強と言われてます」小声 セーラ「そうかそうか…燃えてきたで!」小声 怜「とりあえず雀荘にいこか」 京太郎「そうですね」 怜「皆もそれでいい?」 セーラ「いいで!」 浩子「かまいません!」 竜華「大丈夫やで」 京太郎(なんであんなに張り切ってるんだろ) 雀荘 怜「さっそく打とか」 京太郎「いや、その前にそちらの人達を紹介して欲しいんですが…」 怜「それもそうやな。左からセーラ、フナQや」 セーラ「よろしくやで」ニコニコ 浩子「よろしくです」 竜華「それで予定通り浩子は見学でいいん?」 浩子「はい、直に観れるならそれだけでデータになりますから」 京太郎「聞いた時から思ってたんですが俺のデータをとってもあんまり意味無いような…」 浩子「…それは一方的に終わるって事ですか?」イラッ 京太郎「それは違います。ただ男子の俺のデータをとってもフナQさん達とは公式でまず試合しませんよね?」 浩子「そういう事ですか…データ取りは趣味みたいなもんですから気にせんといてください」 京太郎「はぁ…」 セーラ「そんな事よりもはやく打とうや。強いんやろ、京は?」 京太郎「強いですよ。これでも全国レベルですから」 竜華「なんやそれ」 京太郎「リアルの話は秘密です」ニコニコ 怜「とりあえず座りや」 京太郎「そうですね」 セーラ「燃えてきたで」 竜華「まあ、勝つのはウチや」 浩子(岩手の大魔王…データとってしゃぶり尽くしたる) 一同「よろしくお願いします」 怜「親決めやな」 竜華「ウチが親やな」 京太郎(トキさんは確か一巡先が見えるんだよな…ならそれに挑戦してみよう!)ゴゴゴゴゴ 怜「…っ!」 怜(直に打つとよう解る…京さんは化け物や) 竜華(空気が変わった…) セーラ(なんや面白くなってきたで!) 京太郎(まだだ…まだ上がる)ゴゴゴゴゴ。 竜華(なんや、なんなんや、あの槍は!) セーラ(あれはあかんやつちゃうかな…) 怜「させへんで…」小声 一巡先を視る者発動 怜(これをこうすれば…) ??「未来は不確定だから美しい」 怜「えっ?」 天沼鉾発動 バリン… 怜(未来が視えへん…なんでや!) コトン…ドス… 京太郎「ロン、国士無双!」 京太郎 57000 怜 -7000 竜華 25000 セーラ 25000 京太郎「ありがとうございました」 セーラ「ありがとうございました」 竜華「ありがとうございました…」 怜「ありがとう…ございました……」 浩子(化け物や…チャンタの高め倍満の手から普通はああはなれへん…全国クラスの化け物や) 怜「もう一回や…もう一回だけしよ」 竜華「怜?」 セーラ(何をあんなに焦ってるんや?) 京太郎「……」 京太郎「別にかまいませんよ」 怜「ウチが親やな…」 怜(視えんようになったとかありえへん…あれがなかったら…あれがなかったらウチは!) 京太郎(…こっちだ…) 怜(視えんへん…なんで視えへんねん!) セーラ(トキがおかしいな) 竜華(なんかあったんやろか?) コトン…ドス… 竜華「えっ?」 京太郎「ロン、四暗刻単騎」 京太郎 57000 怜 25000 竜華 -7000 セーラ 25000 浩子(また役満…ありえへん) 京太郎「ありがとうございました」 竜華(今、槍が刺さってたはず…なんやったんや)胸の辺りをペタペタと触り 怜「……」レイプ目 セーラ「なあ京…あと一回だけせえへんか?やられっぱなしは主義じゃ無いんや」 京太郎「…」 京太郎「俺は別にかまいませんよ」 京太郎「俺が親ですね」 京太郎(トキさんの様子が明らかにおかしい…) 怜「ウチなんて…所詮」ボソボソ 京太郎「それポン」 竜華(發鳴き…特許券か?) 怜「またや…なんでや…」 セーラ(これで三倍満まであと一手…) コトン…ドス… セーラ「はっ?」 京太郎「ロン、緑一色、48000です」 京太郎 73000 怜 25000 竜華 25000 セーラ -23000 京太郎「ありがとうございました」 浩子(千里山のレギュラー三人が東一局で飛ばされた…) 怜「ウチ、もう今日は帰るわ…」フラフラ セーラ「俺もごめん…帰るわ」 竜華「トキ!」 怜「ごめん竜華…今はこんといて欲しい…」 竜華「えっ?」 怜「ウチにもう…千里山のレギュラーの力は無いねん」ポロポロ ダッ…走り 竜華「トキ!」追いかける 浩子「すいません…私も追いかけますんで」 京太郎「あっ、はい…」 浩子「それじゃあ」 京太郎(……やり過ぎたか) 京太郎「…困ったら直感に従うベキだよな」 怜(どないしよ…未来が視えへんウチなんてただの病弱や) ぐぅ… 怜(そう言えば朝ごはんも食べてないからお腹空いたな…でもご飯を食べる気分でもないし) グラ… 怜(あかん…視界が歪む…) 怜(竜華…ごめん) バタ…ギュ… 怜(えっ?誰に…?) ??「大丈夫ですか!」 怜(あかん…金髪とか…ウチもついお迎えがきたみたいや……) 京太郎「おいおい…とりあえず病院に…」 怜「お腹空いた…」 京太郎「飯だな」 パク…もぐもぐ 怜「……」 パク…もぐもぐ 京太郎「……」 怜(気まずい) 京太郎(…コンビニのおにぎりを久しぶりに食べたがありだな) 怜「あの…何も聞かないん?」 京太郎「…聞いても答えてくれないでしょ?」 怜「うっ…」 京太郎「女の子を泣かしたまま放置するのは義姉の教えに反するからきたんです」 怜「…嘘やな」 京太郎「えっ?」 怜「ほらやっぱり」 京太郎「カマかけたんですか…」 怜「京さんがウチ達を虐めたからな」 京太郎「虐めたつもりはないんだけどな…ただ最近はずっと勝つ為に麻雀を打ってる」 怜「それ以外になんかあるの?」 京太郎「…自分は強いから手を抜いてやらないといけないとか考えてた」 怜「なんやそれ、感じ悪いな」 京太郎「…俺もそう思うよ。それを部活の仲間に麻雀でフルボッコにされて気づかされた」 怜「えっ、京さんをフルボッコにできる人なんておるの?」 京太郎「いくらでも居るぞ。部活の仲間や義妹も最近強いからな」 怜「…なんか凄いな」少し笑い 京太郎「やっと笑った」 怜「えっ?」 京太郎「麻雀してから死んだ魚の眼をしてたから…多分、原因は俺だし」 怜「っ…どうなんやろうね…京さんには言ってたっけ…ウチな一巡先が視えるねん」 京太郎「言ってましたね。俺も今日、槍投げてたでしょ?」 怜「あれにはびっくりしたで…」 怜「それでな…今日になって一巡先が視えへんかってん…変な声が聞こえて、ウチの力が無くなってん…」ポロポロ 京太郎「……」 怜「あの力が無かったらウチは千里山のレギュラーにはなられへん…竜華達と同じ舞台に立たれへん」ポロポロ 京太郎「それで立ち止まるんですか?」 怜「えっ?」 京太郎「未来が視えなくなったから麻雀から逃げるんですか?」 怜「ウチは逃げてなんか…」 京太郎「逃げてますよ。逃げて、泣いて、自分は何もできないって言って誤魔化してるだけじゃないですか」 怜「っ!京に何が解るねん!自分だってあんな強い槍があるやん!あれがなくなったら今の実力は出されへんやろ!」 京太郎「槍がなくても弓があります。弓がなかったらまた頑張ればいい。何かがないから麻雀に勝てないと俺は言いたくない」 怜「っ…!ウチは…ウチはそんなに強く無いんや!病弱で死ぬ思いして偶々手に入れた力なんや…いいやないか…逃げてもいいやないか。ウチは弱い人間なんや」ポロポロ 京太郎「……」 京太郎「手を出してください」 怜「えっ?」 京太郎「俺が貴女に新しい力をあげます」 怜「そんな事できるわけ…」 京太郎「できます。ただしもう泣かないで下さい」 怜「……ほんまにできるの?」 京太郎「…多分」 怜「なんやそれ…まあ、その嘘に乗ったる…今は藁にも縋りたいから」 さっ…手を出して 京太郎「……やっぱり勇気じゃダメですか?」 怜「あかんで京さん…男に二言は無しや」 京太郎「うっ…いきますよ」 ギュ…手を両手で握り 怜「なっ!」カァァ 京太郎(……力を…いや、なんだろうな……) コプ…… 果実が連鎖反応を起こしていき 京太郎(……強くじゃないな…この人が泣かなくても良いように…未来に頼る事なく歩いていけるように) ドクン… 怜「何が起ころうとしてるんや?」 京太郎(この人に俺が与えられる全部の力を…トキさんに…!) グワァ… 怜(京さんからなんか変な感覚が…あかんこれ…耐えら…)ジュワァ バタン…怜が倒れる 京太郎「えっ?」 精神世界 怜「あれここ何処?」 洋榎?「やっと気がついたみたいやな」 怜「なんで姫松の愛宕姉がおるねん…」 絹恵「ウチもおるで」 怜「えっ?」 健夜「私達もいるんだけど」 良子「ノーウェイ」 はやり「ギュルビーン☆」 怜「プロもおるんか…夢かなんか?」 豊音「惜しいよー、ここは夢であって夢じゃないんだよー」 怜「えっ?誰、あんた?」 塞「貴女が京太郎に望んだでしょ?」 怜「京太郎?京さんの事か?」 白望「私達が叶えてあげる…だるい」 怜「叶えるって何をや…」 胡桃「そんなの決まってる。貴女の望み」 怜「ウチの望み?」 エイスリン「強くしてあげる」 怜「…ほんまか?」 小蒔「嘘はいいません」 怜「なら…」 霞「ただし条件があるわ」 怜「条件?」 初美「簡単な事ですよー」 怜「……」 巴「それは…」 怜「それは?」 春「秘密」 怜「なんやそれ…そんなおかしいやないか」 久「何がおかしいのかしら?」 怜「そんなんウチが不利…」 智葉「甘えるな、タダで手に入る力などない」 怜「うっ…」 慧宇「どうする?」 怜「う、ウチは…」 京太郎「大丈夫なのかな…トキさん…」膝枕していて 怜「うー…」 京太郎「さっきからずっとうなされてるんだよな…」 怜「……っ…」眼を開けて 京太郎「大丈夫ですか?」 怜「……」 怜「京君…?」 京太郎「えっ?」 怜「京君がおるって事はウチ…生き残ったんや…やったで、やったで京君!」 ギュー…抱きしめて 京太郎「ちょ、どうしたんですか?」 怜「京君、ウチが間違ってた……ウチ頑張るからな」 スッ…京太郎と向き合って 怜「能力だけが麻雀じゃないってようわかった…それに京君がくれた力がウチにはある」 京太郎「は、はぁ…」 怜「これはそのお礼や」 チュ…頬に 京太郎「えっ?」 怜「口と本番はもう少し仲良くなってからな!それじゃあ、ウチはもう帰るから」カァァ ダッ… 京太郎「本番ってあの本番か?………な、なんだって!」 夕方 京太郎「……きっとあれは夢だ……いや、流石にそれはクズすぎるだろ。夢で何かあったのか?」 京太郎「ぶらついてみるか」 京太郎「適当にぶらつくか」 京太郎「何時の間にか引っ掛け橋まで来てしまった……ナンパするので有名らしいなこの橋」 竜華「お断りします」 男「え、ダメなのなんで?」 京太郎「そうそうあんな風にナンパが……あれ、あの人どっかで見た気が」 竜華「私は忙しいんです!」 男「いいじゃんか、そんな事より俺と遊ぼうぜ」 竜華「いやです!」 京太郎(あれって清水谷さんじゃないか……助けるか) 男「…人が下手にでてたら調子にのりやがって…」 竜華「えっ?」 バシ… 男の手を握り 京太郎「あの、俺の彼女に何かようですか?」 男「ヒッ!」 男(なんだよ、このガキ…眼がヤバすぎるだろ!) 京太郎「もう一回聞きますけど俺の彼女に何かようですか?」 ギュ…林檎を余裕で握り潰せる握力で腕を握り 男「な、なんでもありません!」 バッ…ダッ…逃げて行く 京太郎「あの大丈夫でしたか?」 竜華「……えっ、あっ、うん大丈夫やで」カァァ 京太郎「それなら良かった…すいません、彼女呼ばわりして」 竜華「えっ、いや別に気にしてないから大丈夫やで」カァァ 竜華(お、大人の余裕を見せなあかん…彼女って呼ばれた位でなんでこんなに嬉しいねん!) 京太郎「そう言ってくれると助かります…それじゃあ、俺はこれで」 スタスタ… 竜華「えっ…ちょっと待って!」 京太郎「はい?」 竜華「お礼、そうや、お礼さして!」 京太郎「お礼ですか?」 竜華「そうや、京さん大阪あんまり来た事ないんやろ。ならウチが美味しいもん紹介したる」 京太郎「良いんですか?」 竜華「任せとき!」 パク…もぐもぐ 京太郎「美味しい…」 竜華「当たり前や、うちのお勧めの店やからな」ニコニコ 京太郎「それもそうですね…串カツがこんなに美味しいなんて知りませんでしたよ」 竜華「そうやろ、そうやろ。そう言えば京さん、トキの事ありがとうな」 京太郎「えっ?」 竜華「さっきなトキから電話があってもう大丈夫やでって元気な声で言われてな…気が抜けた時にさっきの男に引っ掛けられたんや」 京太郎「そ、そうなんですか」 竜華「そうやで、だから京さんには感謝してるんや」 京太郎「俺なんて何も…」 竜華「それはない。私も助けてくれて、トキも十中八九京さんに救われたはずや」 京太郎「……」 竜華「あかんで、人の好意は素直に受け取らな」 京太郎「すいません、慣れてなくて」 竜華(…嘘なんやろうな…まあ、いいか) 竜華「まあ、今回はこれで勘弁したる」 京太郎「ありがとうございます…あれ、でもなんかこれって変じゃ…」 竜華「それもそうやな…ハハハ」 京太郎「ハハハ」 京太郎「ごちそうさまでした」 竜華「ごちそうさまでした」 京太郎「割り勘でいいですかね?」 竜華「かまへんで。正直、奢ったると言われたらどないしよかなって思ってたし」 京太郎「奢ってもいいですよ?今日のお礼と清水谷の美貌に…なんてね。少しくさすぎますね」ワハハ 竜華「ほ、ほんまやで、ドキッとしたやないか!」カァァ 京太郎「顔真っ赤ですよ」 竜華「赤くなんてない!」 京太郎「それじゃあ、行きましょうか」ニコニコ 竜華「うぅ…京さんなんて嫌いや」 京太郎「いやまあ、竜華さんが綺麗なのは事実ですから」 竜華「あぅ…」ボン… ーーーー 京太郎「また会いましょう」 竜華「せやね…また大阪に来たら会おな」 京太郎「是非」 夜1 京太郎「……知らない街で一人だと妙に淋しいよな」 京太郎「夜の新世界に見てみるか…嫌な予感がするけど」 京太郎「酔っ払いと客引きしかいなかった…まあ、当たり前か」 夜2 ♪~ 京太郎「電話か?もしもし」 洋榎「もしもし、京太郎!」 京太郎「洋榎かどうかしたのか?」 洋榎「どうかしたもこうしたもない!なんで大阪に来てるのにウチに連絡せえへんねん!」 京太郎「いや、今日は別の友人と…」 洋榎「約束したやないか!」 京太郎「うっ…明日、誘おうと思って…」 洋榎「ほんまやな?」 京太郎「本当ですよ」 洋榎「なら明日、ウチとその…で、デートやで」カァァ 京太郎「はい、楽しみにしてます」 洋榎「ぜ、絶対やで!約束破ったら針千本のますからな!」 京太郎「約束は守りますよ」 洋榎「なら、明日朝にまた連絡するから…でるんやで」 京太郎「はい、待ってますね」 ーーーーーー 洋榎「…えっとまず、服やな…」 ポン… 絹恵「抜け駆けはあかんでお姉ちゃん」 洋榎「絹、なんでここに…」 絹恵「外に声が漏れてたで」ゴゴゴ… 洋榎「な、なんやて…」 絹恵「ウチも行くから」ニコニコ 洋榎「うっ…しかたないな」 朝 京太郎「……大切な何かを踏み躙った気がする」 朝食 京太郎「とりあえずご飯を食べるか」 ーーーーー 強制イベント ♪~ 京太郎「メールが着たな」 From 愛宕洋榎 11時に梅田で待ち合わせ。 京太郎「11時に梅田か……そろそろでとくか」 京太郎「待ち合わせ場所はここだよな…あれ?」 絹恵「あっ、京太郎!」 洋榎「えっ?あっ、ほんまや、京太郎」ブンブン 京太郎「…一時間前だぞ。二人とも早すぎませんか?あれ、そう言えば絹恵も来るのか?」 絹恵「あかんかったかな?」 京太郎「いや、全然もんだ…っ!」 ぎゅー…洋榎に足を思いっきり踏まれて 京太郎(…怒ってる。何でか解らないがとりあえず不機嫌なのはわかった…)洋榎をチラ見して 京太郎「び、美人姉妹とデートなら喜んで行くよ」 京太郎(こ、これでどうだ…) グリ…踵で踏みにじられる 洋榎「ばかやろ…」カァァ 京太郎(間違っただと…!) 絹恵「嫌やわ、美人姉妹なんて照れるやん」ニコニコ 京太郎(今日は精神的に疲れるかもしれない) 絹恵「とりあえず行こか」 ギュ…右の手を握られ 洋榎「むっ、ずるいで絹」 ギュ…左の手を握られる 京太郎(落ち着け、落ち着くんだ…なんでテンパる…冷静に何時も通りにやれば大丈夫だ) 京太郎「両手に華ですね、これ」ワハハ 京太郎(これで突っ込みがとんでくるはず!) 絹恵「そ、そうやね」カァァ 洋榎「あ、当たり前やろ」カァァ 京太郎(な、なんだと…) 洋榎「と、とりあえず近くにおかんから教えてもらった店があるからそこでご飯にせえへん?」 京太郎「別にいいですよ」 絹恵(お姉ちゃん、何時のまにそんな事を…)目で会話 洋榎(甘いな絹、お姉ちゃんはやりてなんや)目で会話 洋榎「ここや」 京太郎「お洒落な洋食屋ですね」 絹恵「あれ、ここって…」 洋榎「せやろ。はよ、はいろか」ニコニコ ガラン… 店員「いらっしゃいませ」 洋榎「三人で禁煙で」 店員「こちらになります」 スタスタ… 店員「こちらです」 京太郎(どうやって座ろう…) 絹恵「京太郎とお姉ちゃんはそっちに座っていいよ」 洋榎「えっ?」 絹恵「ウチはこっちでいいよ」 京太郎「ならこっちに座ろうかな」 洋榎「そ、そうやな」 洋榎(おかしい…) 絹恵(ここがおかんが言ってた店ならあのメニューがある筈や…) 京太郎「何を食べようかな…」 京太郎(裏メニューって言ってみたい…絶対にあるんだよな…メニューは一通りあるしな…わからん。普通にビーフシチューにしとくか) 洋榎「決まったんか?」 京太郎「ええ」 洋榎「絹は?」 絹恵「ウチも決まってるで」 洋榎「なら呼ぼか、すいません!」 店員「はい!ご注文はお決まりでしょうか」 洋榎「ウチはクリームシチューのセット」 京太郎「俺はビーフシチューのセットで」 絹恵「ウチは…あの、ふわふわオムライスで」 店員「あら、良く知ってたわね」 絹恵「母が前に言ってたんですよ」 店員「そうなんですか…わかりました。失礼します」 京太郎「ふわふわオムライスってありましたか?」 洋榎「せや、そんなんあったん?」 絹恵「裏メニューやで。おかんの思い出の」 洋榎「…まさか…」 絹恵「ウチの勝ちや」口パクで 洋榎「あのオムライスか!」悔しがり 京太郎「?」 店員「以上でよろしいでしょうか?」 京太郎「大丈夫です」 店員「ごゆっくりどうぞ」 絹恵「これが思い出のオムライス…」 京太郎「思い出のオムライスってどういう意味なんですか?」 絹恵「秘密」 洋榎「絶対に言わんで」 京太郎「なんだよそれ…」 洋榎「女の秘密や」 絹恵「そうやで、女の子の秘密や」 ーーーーーー パク…もぐもぐ 京太郎「美味しい…丁寧に作られてるな」 洋榎「クリームシチューも美味しいで」 絹恵「オムライスもありやで」 京太郎「流石、二人のお母さんのお勧めの店だな」 洋榎「当たり前やで」ニコニコ 店の外 京太郎「また行きたいな」 絹恵、洋榎「えっ?」 京太郎「いや、美味しかったからまた行けたらいいなって」 洋榎「そうやな…またこよか」 絹恵「うん、また行こね」 京太郎「それで今からどうするんですか?」 洋榎「買い物やな」 絹恵「えっお姉ちゃん、普通は大阪城とか見に行くんと違うん?」 洋榎「ありきたりすぎるやろ。それに京太郎も大阪城くらい言った事あるやろうし。なあ、京太郎」 京太郎「まあ何回か大阪にきてるんで大阪城は見た事くらいはあるぞ」 京太郎(良子義姉さんと半日かけて巡ったしな) 洋榎「そうやろ。だから買い物でええやん。正直、大阪は通天閣と大阪城、食い倒れしかないんやで」 絹恵「…それもそうやけど…」 京太郎「買い物でいいぞ。デートだしな」 洋榎「そうやこれはデート……何いわしとんねん!」かぁぁ 絹恵「デート…」ポッ… 京太郎(突っ込みが飛んでこないだと!) 洋榎「ハルカスで買い物や」 京太郎「ハルカスってあのハルカスか?」 洋榎「そうやで日本一大きいビルらしいからな…眺めもいいやろうし、絹もそれでええやろ?」 絹恵「かまへんで。私もハルカス行ってみたかったし」 洋榎「なら決まりやな」 ーーーーーーーーー ハルカス一階 京太郎「デカイな…」 洋榎「そうやな…」 絹恵「最上階に雲がかかってる…」 京太郎「写真とらないか?」 洋榎「えっ?」 京太郎「いや、旅行に着てるのに一枚も写真とってないから…どうかなって」 絹恵「それいいな」 洋榎「なら誰かにとってもらわんと…すいません!」 漫「えっ、うちですか?あれ、主将に絹ちゃん…ここでなにしとんの?」 洋榎「げっ…なんで漫がここにおるん」 漫「げって酷いですね…うちだって用事があるんです…そっちの男って岩手の大魔王じゃ…」 京太郎「大魔王って…どうも。合宿以来ですね」 漫「もしかして主将達、デー…むぐぅ…」口を塞がれて 洋榎「ちょっとこっちこよか」 ズルズル… 洋榎「いいか、漫」鬼の気迫 漫「は、はい!」 洋榎「部活のメンバーにこの事言ったら解るな?」 漫「い、言いません!」 洋榎「それでいい…言ったら油性ペンでデコと頬に肉って書くからな」 漫「は、はい!」ぶるぶる 洋榎「流石、ハルカスや。色んな物が置いてるで」 絹恵「何を見に行くん?」 漫「なんでうちも何ですか」 洋榎「共犯やと喋られへんやろ?」 漫「うちにも用事が…」 絹恵「用事って今話題のあの映画を…」 ?漫「あー、言ったらダメや!」 洋榎「何の映画を観に行くん?」 漫「何でもないです!本当に何でも…」 絹恵「純愛映画やで」 漫「あっ…」 洋榎「純愛?…ほんまなんか?」ニヤニヤ 漫「ダメですか?」ぷんすか 洋榎「別に、だめやなんて言ってないやん」 絹恵「お姉ちゃん、悪ノリしたらあかんで」 京太郎「その映画なら俺も観に行こうって思ってましたよ?」 三人「えっ?」 京太郎「いや、原作の小説を義姉が持ってたから結構気になるんですよ」 漫「そ、そうなんや…うちも小説読んでるんですよ。ラストの話とか良いですよね」 京太郎「そうですね。知らなかった真実を知った時の衝撃とか今でも覚えてますもん…それにそのまえの…」 漫「わかります!あのシーンで主人公が…」ペチャクチャ 絹恵「なあ、お姉ちゃん…」 洋榎「言うな絹…言ったら悲しくなる」 絹恵「そうやね…でも反省せなあかんで」 洋榎「うん…肝に命じとくわ」 漫「それにあの…」 京太郎「あっ、待ってください。あのこれ俺の連絡先なんでまた良かったら連絡ください。今はデート中なんで」洋榎達の方を向いて 漫「あっ、そうやった…すいません、主将」 洋榎「別にかまへん…淋しくなんてなかったんやからな!」 京太郎、漫(淋しかったんだ) 絹恵「それで何を見に行くん?」 京太郎「……」 京太郎「時計を見に行きませんか?」 洋榎「時計?」 京太郎「ああ、ここにならあの時計があると思うんだ」 絹恵「でも私、お金ないんやけど…」 京太郎「五千円で買えますよ」 絹恵「そうなん?」 京太郎「ええ。俺が欲しい二本の時計のうちの一つです」 漫「二本も欲しいん?」 京太郎「ええまあ…憧れなんですよ」ワクワク 洋榎「それやったら別にかまわんけど…」 京太郎「ありがとう!」 ーーーーー 京太郎「ここが一番大きい時計店だな」 洋榎「なんであんな嬉しそうなん」小声 絹恵「あれはなんかに夢中な男の子の眼や」小声 漫「生き生きしてますね…」小声 京太郎「すいません!」 店員「はい、どうしましたか?」 京太郎「時計を探してるんですけど」 店員「ブランド品ですか?」 京太郎「いや違うんです。セイコー5の時計を後ろの三人にあったタイプはありますか?」 店員「……セイコー5ですか。若いのによくご存知ですね」 京太郎「時計が好きなんです。一番欲しいのはオメガのスピードマスターが欲しいんですが…あれに見合う位になったら買うつもりです」 店員「本当に不思議な方だ…今時の若い人は高級ブランドばかりを求める。特にこんな所に店を構えるとそんな客しか来ない。久しぶりの客が貴方みたいな方で良かった。少しお待ちください。在庫の確認をして参ります」 洋榎「なあ京太郎、そのセイコー5ってなんなんや?」 京太郎「えっとその…なんて言えばいいんだろ。日本が世界に誇る普通の腕時計です」 絹恵「普通の腕時計?」 京太郎「ええ。輸入でしか入らない時計なんですけどね」 漫「日本の時計やのになんで輸入するん?」 京太郎「海外モデルしか無いからです。残念な事にね」 漫「そうなんや…」 店員「お待たせしました。当店にあるセイコー5、13本です」 洋榎「…本当にただの時計やな。それになんか古い気がするし」 京太郎「えっ、あのこれって…」 店員「サービスですよ。価値も解らない客に売るより貴方達に売った方が時計も喜びますから」 絹恵「でも私はこの時計でいいと思う」 漫「かっこいいってよりも年代を感じる」 京太郎「……気に入った時計はあったか?」 洋榎「ウチはこれかな」指差し 絹恵「私はこっち」指差し 漫「ウチはこれに惹かれたかな」 京太郎(どれも良い品だな…何も知らずに決める時計が1番なのかもしれないな) 京太郎「すいません、その三本と右の1番右の一本をください」 洋榎「ちょい待ち、高いんと違うんか?」 絹恵「そうやで、他の時計の値段見ても諭吉さんが何枚も飛んで行ってるで」 漫「わ、悪いですよ…」あたふた 京太郎「樋口でお釣りが来るから大丈夫ですよ。美人三人とデートしてるんです、漢気を見せないと駄目でしょ」 京太郎(今年のお年玉が吹き飛ぶけど仕方ないか) 店員「畏まりました。それでは調整をするのでそちらのお嬢様達は向こうにいってもらえますか?」 洋榎「う…これは借りやからな」 絹恵「そ、そうやで」 漫「あ、ありがとうございます…」あたふた スタスタ… 京太郎「ふぅ…それで一本幾らですか?」 店員「幾らだと思いますか?」 京太郎「通常の三倍?いや五倍かな?」 店員「やはり貴方は不思議な方だ。二倍で良いですよ。保障もつけましょう」 京太郎「赤字じゃないんですか?」 店員「高級時計を一本売ったら大丈夫ですよ。それに貴方とはこれからも長く取引がしたい」ニヤニヤ 京太郎「……五年待っててください。二十歳になったらマスターが似合う男になります」 店員「楽しみにしておきます。その時が来る事を。それまでこの店に眠っているあの子は保管しておきます」 京太郎「あるんですか!」 店員「どうでしょうね」ニコニコ 夕方 京太郎「今日は本当にありがとうございました」 洋榎「ウチらの方こそありがとうな。時計も買ってもらったのに…」 絹恵「また大阪来たら…いや、全国で会おな」ニコニコ 漫「あの…また連絡するから」 京太郎「はい。待ってます。それじゃあ」 夜1. 京太郎「まだ時間はあるな…」 京太郎「飯を食べるか…」 京太郎「唐翌揚げ…いやカツカレーもありだな」 ガシ… 京太郎「えっ?」 雅枝「ちょっと私と話せえへんか?」 京太郎「は、はい」 京太郎(絹恵に似てる…目元は洋榎にそっくりだし…まさかな) 雅枝「そんなにびびらんでええよ。ただちょっと娘の話を聞くだけや」 京太郎「洋榎達の事ですか?」 雅枝「なんや気がついてたんか?」 京太郎「髪の色と口元は絹恵、目元は洋榎そっくりですよ」 雅枝「本当に洋榎達が言ってた通り只者じゃなさそうやね」 ーーーーーーーーー 雅枝「そうやろ!おかんがおるから行かへんとか言ってやで、楽しみにしてたのに!」酔っ払い 京太郎「そうなんですか…でも千里山も十分強いじゃないですか」 雅枝「当たり前や!ただな…洋榎と三箇牧の荒川憩が居れば楽になったんや!でもまあ、そんな事はどうでもいいんやけどな…」 ごく…ごく…ぷはぁ… ビールを飲み切り 京太郎「あっ、どうぞ」 雅枝「気が利くな。さっきからありがとうな」ニコニコ 京太郎「いえいえ、これくらい普通ですよ」 雅枝「ほんまにええ男やね、あんたは…ウチがもう少し若かったら、アタックしたんやけどな」ワハハ 京太郎「今より綺麗になってたら俺が緊張してしまいますよ」 雅枝「口もうまいんやから!」 バシ、バシ… 京太郎「事実ですよ」 雅枝「もう一軒行くで?」酔っ払いできあがっている 京太郎「いやいや、ここら辺は危ないから駄目ですよ」 京太郎「わかりました、解りましたから、とりあえずタクシーに乗りましょうね」 雅枝「乗ったらもう一軒行くんやな?」 京太郎「行きます」 雅枝「ならさっさと捕まえなな」 京太郎「あっ、ダメですよ酔ってるんだから」 ギュ…手を握り 雅枝「えっ?」 京太郎「こっちですよ」 雅枝「は、はい…」 京太郎(急にしおらしなった?) 雅枝(手握られとる…このままもしかして…)妄想にふける キィー…タクシーがとまり 京太郎「乗りますよ」 雅枝「えっ、どこにいくん?」 京太郎「……」 京太郎「雅枝さんの最寄り駅までですよ」 雅枝「最寄り駅、なんでなん?」 京太郎「帰れなくなるでしょ」 雅枝「帰れるわ!京太郎はウチの事どう思っとんねん」 京太郎「酔っ払った美人です。襲われたら大変ですから早く乗ってください」 雅枝「えっ、は、はい」 運転手(天然のジゴロだな、このあんちゃん) 京太郎「えっと…洋榎が言ってた駅は…」携帯でメールを確認して 京太郎「○○駅までお願いします」 運転手「解りました」 雅枝(あかん…眠なってきた…)ウトウト 運転手「着きましたよ、4320円です」 京太郎「はい、お釣りお願いします。雅枝さん、降りますよ」 雅枝「すぅ……zzz」 京太郎「マジかよ…」 運転手「これ、お釣りの680円。うまくやりなよ、あんちゃん」 京太郎「が、頑張ります」雅枝をおんぶして バタン…ぶうぅぅうん走り去って行く 京太郎「とりあえず洋榎か絹恵に連絡だな」 京太郎「洋榎だな…」 ーーーーーー ♪ー 洋榎「もしもし、京太郎どないしたん?えっ、おかんと○○駅におるん?おかん、寝てんの!ああ、待っててすぐ行くわ」 バタバタ… 絹恵「どうかしたん、お姉ちゃん?」風呂上がり 洋榎「おかんが酔いつぶれて○○駅で京太郎とおるんやて。ちょっと迎えに行って来るわ」 絹恵「えっ、そうなん!?でも京太郎って新幹線乗ってるんじゃ…」 洋榎「あっ…今、何時なん?」 絹恵「10時過ぎ…」 洋榎「どないしよう……でもとりあえず迎えに行って来るわ」 絹恵「気いつけて」 洋榎「京太郎ー!」自転車で爆走 京太郎「こっちだ」 洋榎「ごめんな、おかんが迷惑かけて」 京太郎「いや迷惑なんかじゃなかったぞ」 雅枝「……zzz」 洋榎「ほんまに寝てるんやな」 京太郎「爆睡してて起きない…まあ、飲んでたからな」 洋榎「どんなけ飲んでたん?」 京太郎「……秘密だ」 洋榎「相当飲んだんやな…まあ、とりあえず行こか」 京太郎「えっ、どこに行くんだ?」 洋榎「ウチの家に決まってるやろ」 京太郎「いや、俺、新幹線の時間が…」 洋榎「…京太郎、時間わかってる?」 京太郎「時間?そんなの……」サー…血の気がひいていき 洋榎「あはは…ごめんな」 京太郎「お、おう…別にいいぞ」遠い目 京太郎「お邪魔します」 洋榎「中々の家やろ」ニコニコ 京太郎「そうだな」 京太郎(女物の靴しかない…あれ、これってまずくないか?) 洋榎「とりあえずおかんはソファーに横にやっといて」 スタスタ 京太郎「お、おう…とりあえずゆっくり降ろしてと…」 雅枝「うん…あれ、ここ家か?」 京太郎「あ、起きました?」 雅枝「なんで京太郎がおるねん…っ…頭痛いわ」 京太郎「ああ、待ってください。昼間に買った未開封の ミネラルウォーターです。よかったら」 雅枝「あ…ありがとう」頭を抑えて ごく…ごく… 雅枝「……なんで自分まだおるん?」 京太郎「えっ…」 雅枝「はよ帰りや…親御さんが心配するやろ…」 京太郎「えっ、あっ…すいません…」 洋榎「あれ、おかん起きたん?」 雅枝「洋榎か…京太郎がもう帰るから…送ったって」頭を痛めて 洋榎「何を言ってんねん。京太郎は今日、ここに泊めるで」 雅枝「はっ?何言ってんの?あかんに決まってるやろ」 洋榎「おかんこそ何言ってるんや。おかんのせいで京太郎が新幹線に乗り損ねたんやろ」 京太郎「あっ、洋榎、それは言ったら…」 雅枝「どう言う事や?」 京太郎「あ、あの…」 洋榎「おかんが酔い潰れてタクシーで京太郎が○○駅まで送ってくれたんやろ。それに今の時間見て見いや。もう11時やで」 雅枝「本当なんか?」京太郎の方を向いて 京太郎「…事実です」 雅枝「はぁ…めげるわ。この年で娘と変わらん男に酔い潰されて介抱されてたんか…ほんまにめげるわ」 京太郎「すいません」 雅枝「謝らんでいい。今日は泊まっていいから。新幹線代も渡す…本当にすまんかった」 京太郎「いや、俺の方こそ…」 雅枝「もう何も言わんでいい…ちょっとお風呂入ってくるわ」 スタスタ… 京太郎「なんか悪い事したな」 洋榎「京太郎は悪ない。おかんが酔い潰れるなんて滅多にないんや。それだけ京太郎に気を許したって事やろ」 京太郎「そうだと良いんだがな…」 洋榎「まあ、大丈夫やで。ちょっと待っとき。毛布もってくるから」 京太郎「あっ、手伝うぞ」 洋榎「いや京太郎は客やからなゆっくりしとき」 スタスタ 京太郎「…お言葉に甘えるかな」 京太郎(…あかん、いろいろとあり過ぎて眠く…なっ…きた……zzz) ツンツン… 京太郎「うっ…だれだ?」 雅枝「ウチや…ちょっと付き合い」ジャージ姿 京太郎「は、はい」 ーーーーーー 雅枝「あんたはちょっとは飲めるんか?」向かいあって座っており 京太郎「いや、お神酒程度なら」 雅枝「なんやそれ…まあいいけど。それでや…ウチはあんたになんて言った?」 京太郎「何がですか?」 雅枝「いや、だから…酔っている時になんか言わんかったか?」目をそらしながら聞いて 京太郎「特に何もなかったですよ。洋榎達が千里山に…」 雅枝「あー…それ以上言わんでいい。そんな事を言ってたんか…他には?」 京太郎「いや、特には聞いてないですよ」 雅枝「……」京太郎の眼を見て 京太郎「……」 雅枝「嘘は言ってないみたいやな…絶対に洋榎達に言ったらあかんで」 京太郎「恥ずかしいんですね」 雅枝「ち、違うわ」 京太郎「はいはい、眼が泳いでますよ」 雅枝「まったく、子供らしくないであんた」 京太郎「よく言われます」 雅枝「……小鍛冶健夜と戒能良子の義弟はそうせな務まらんかったんか?」 ガタ… 京太郎「…」 雅枝「顔が引きつってるで…知らんと思ったんか?」 京太郎「予想外でした」 雅枝「舐めたらあかんで。でもまあ、その表情の方がウチは好きやな」 京太郎「あまりいじめないでくださいよ」 雅枝「あんたが本音を話さないから仕方ないやろ」 京太郎「…何が聞きたいんですか?」 雅枝「ぶっちゃけて、洋榎か絹恵、どっちが好きなん?いや、もっと生々しくきこか。もう深夜やしな。どっちが抱きたいん?」 京太郎「ぶっ、言ってる意味わかってますか?」カァァ 雅枝「なんや顔真っ赤やで?もしかしてまだ自分、どう…」 京太郎「あー…何も聞こえない!」耳を手で抑えて 雅枝「案外子供なんやな。それでどっちなん?」 京太郎「……」 雅枝「黙秘か…沈黙は金じゃないで」 京太郎「……」 雅枝「強情やな…なら尋問や」 京太郎「……」 雅枝「洋榎の方が好きなんか?」 京太郎「……」 雅枝「反応無し…いや、無表情か。なら絹恵か?」 京太郎「……」 雅枝「これも無表情か。面白ないで自分。あれか実はウチが1番やったりしてな」 京太郎「そうです」 雅枝「えっ?」 ガタガタ…奥で音がして 京太郎「……」 雅枝「も、もう一回言ってもらっていいか?」 京太郎「……」 雅枝「また黙りか…自分、それズルいで?」 京太郎「なら俺が言ったらどうするんですか?」 雅枝「言うつもりもないのにそんな事を言うのは無しやで」 京太郎「俺はあんた達三人を抱きたい」 雅枝「はっ?」 京太郎「だから俺は…」 雅枝「待って、それ本気で言ってるん?」 京太郎「本気ですよ?寧ろ雅枝こそ何を言ってるんだ?」 ごく…ごく…コップに入った飲み物を飲み切り 雅枝「なんで私もなん?こんな年増より洋榎達の方が…」あたふた 京太郎「逃げるなよ、俺は答えたんだあんたの答えを聞かせろ」 ドバドバ…飲み物を注いで 雅枝「…それはできひん。洋榎達の思い人を母親の私が手を出すはずがないやろ。もうこの話は終わりや、眠なってきたわ。あんたも早くねえや」 京太郎「……」 バタン…何かが倒れる音 雅枝「はっ?」後ろを振り返り 京太郎「むきゅう……」酔っ払って倒れており 雅枝「……日本酒飲んで倒れたんかい。ほんまになんなんやこいつは。担ぐにしては重いしな…ほら、あんた達も手伝い」 洋榎「なんや気付いてたん?」 絹恵「ごめん、おかん」 雅枝「別にかまへん…それにしても難儀な漢に惚れたな」 洋榎「えっ?」 雅枝「なんでもない。ただこの漢はモテるからな気をつけりや」 絹恵「な、何を言ってるんやおかん!」カァァ 雅枝「冗談じゃないで。こいつが欲しいと口に出したらあんた達は逃げられへん。寂しいのに寂しいって言われへん人間なんやこいつは…全く、難儀な人間やで」 ズルズル…京太郎を引きずり 雅枝「私があと20歳若かって元旦那と出逢ってなかったら、さっきのでベタ惚れやで」 洋榎「なんやそれ」 雅枝「女は自分より強くて弱い漢に惹かれるって事や」 バサ…毛布をかけてやり 雅枝「ウチはもう寝る。あんた達も早く寝りや。おやすみ」 二人「おやすみ」 スタスタ… 洋榎「なんなんやろ…ウチは京太郎の大事な事を知らんのかもしれん…」 絹恵「私も…」 サイドストーリー 白糸台優勝インタビュー 照「ありがとうございます。白糸台が優勝できたのは日々の努力と皆様の御声援があったからです。今年も全国優勝を目指して頑張りたいです」 記者「今年の全国大会は長野から二校と変則的な形になっていますが注目している高校はありますか?」 照「どの高校も県大会を勝ち上がってきた猛者だと私は思っています。ですが警戒している高校は幾つかあります」 記者「それはどこの高校ですか?」 照「先程仰った長野県の二校を初めとして岩手の宮守、臨海、鹿児島県の永水高校は充分に対策していきたいです」 記者「常連の千里山や姫松は警戒しないのですか?」 照「大阪府大会がまだなのにそれは言えません」 記者「確かに…最後に一言お願いできますか?」 照「…私はある人との約束でこの三年間戦い続けてきました。今年、その約束をした人が全国に仲間を連れてやってきます。ですが私はそれを全力で潰します。私達に敗北の二文字はありえません」 記者「ある人ですか…がんばってください。応援しています。以上が白糸台のエース宮永照選手のインタビューでした」
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前話 次話 京太郎インタビューその10 惜しくも2位となったが、ついに決勝戦までやってきた清澄高校。 麻雀女子高生の頂点の学校を決める戦いで、果たして清澄は栄光を手にする事が出来るのか。それとも夢破れるのか。 団体戦中最後となるSK君へのインタビュー。思い残しのないように、本日も充実した内容になることを祈る。 なお、西田記者に代わり、今回インタビューを担当させていただくのは私、久美子です。 本日はよろしくお願いします。 京太郎「よろしくお願いします。西田さん、大丈夫なんですか? 今回も西田さんからインタビューされるものかと思ってたんですが」 お気になさらず。なんでも、調べることがあるとかで突然県外に出てしまっただけなので。 京太郎「……全国大会決勝前の今ですか?」 ええ。我々に断りなく行ってしまってたので、止める間もありませんでした。 京太郎「良くあるんですか? こういうの」 それが聞いてくださいよ。S君へのインタビューの時には戻ってきてたんですが、終わったらすーぐまたどっか行っちゃって、今回に至っては…… 京太郎「あ、すいません。それはまた今度に」 あ、ごめんなさい。インタビュー中に。 京太郎「いえ、それはまぁいいんですが」 では改めて、まずは清澄高校の決勝戦進出、おめでとうございます。 京太郎「ありがとうございます。まぁ今回は2位でしたが、進出は進出なので良かったですね。肝は冷えましたけど」 最後の和了りで、危うく清澄が敗退するところでしたからね。 京太郎「決勝では咲が主人公体質を発揮して、一度負けた相手には負けないと良いですね」 主人公体質、ですか? 京太郎「長野の決勝でもそうでしたけど、あいつ最後の最後に大逆転とかもやるんで。なんか主人公っぽいな、と」 成程。ところで、例のごとく前回から今回までになにかありましたか? 私としては臨海女子の方々となにかあったと予測しているのですが。 京太郎「何故予測が? ……まぁ、ありましたけど」 どのような事があったのでしょうか? 京太郎「決勝戦ってことなので、前日に色々下拵えしとこうと思い、会場の厨房を借りてたんですけど、その時にですね」 臨海女子のどなたかがやってきたと。 京太郎「どなたかというか、選手の人全員ですね」 全員? どのような御用向きで? 京太郎「向こうも決勝戦前日に願掛けというか、それぞれの郷土料理を作って食べて気合を入れ直そうとかなんとか」 あー。臨海女子はほとんどが外国籍の方ですからね。 京太郎「メガンさんは「ワタシのソウルフードはラーメンですカラ!」とか言ってカップラーメン持ち込んでたんですがね」 日本食にどっぷり浸かってる……。 京太郎「ちなみに「ゼヒこのラーメンに美味しいトッピングを作ってくだサイ! ドゲザ!」と言って、アイ○ールド21のパンサーが登場当時に勘違いしてたドゲザやってましたね」 というと……あの縦の鉄棒を掴んで逆さになるあれですか? 京太郎「そのあれですね」 とんでもない筋力と身軽さですね……。 しかし何故臨海の方々は、わざわざ会場の厨房を使ったのでしょうか? 京太郎「それについては聞いてないですけど、泊まってるホテルの厨房を借りようとしたけど向こうが忙しくて借りられなかったとかじゃないですかね?」 そうですかね……。 京太郎「そんでまぁ、これもなにかの縁だからと、下拵えしつつ一緒に料理しようってことになりまして」 また距離が近いですね。 京太郎「やっぱ日本人より距離を詰めやすい傾向にあるんですかね」 彼女等も料理出来るんですか? 京太郎「えーと。辻垣内さんとハオは一人でも料理出来て、明華さんはよくお母さんのお手伝いをしているからとサポートなら。メガンさんはからっきしとのことで、ネリーは「皮剥きならネリーにおまかせ!」って言ってたんでピーラー渡しました」 その状況でどうしてみんなの郷土料理を作ろうという話に……。 京太郎「料理出来る組がレシピ調べれば出来そうだと言ったらしく……。まぁ実際にやってみたら難しかったので、俺も手伝ったんですけどね」 同年代の子はもう当たり前に呼び捨てなんですね。 京太郎「この前の動画でタメにはタメ口なの知れ渡っちゃいましたしね。ハオは遠慮しなくていいと言ってましたし、ネリーはそもそもそんな気も起きないタイプだったんで」 出来上がった料理はどうでしたか? 京太郎「美味しい云々というより、新しいって感じでした。今までに味わった事のないタイプの味だったので、美味しく出来たのかさえ分からないです」 臨海のみなさんの反応は? 京太郎「それは概ね上々でした。明華さんなんかは「あらぁ、これはこれは。懐かしい味に出来ましたね。非常にちょっとだけ惜しい感じですけれど」とかなんとか」 非常になのかちょっとなのか、どっちなのでしょう……。 京太郎「まぁー多分、すごく惜しい所まで来てるって意味合いでしょう」 他の方々は? 京太郎「辻垣内さんは俺と似たような反応で、ハオは上手く出来たのかホクホク顔。メガンさんはラーメンを主食に摘む感じでパクパクと、ネリーはバクバクムシャムシャとその身体のどこにそれだけ入るんだと思わせる程にがっついて食ってましたね」 満足行く食事が出来たようですね。 臨海の方々とはどのような会話をなさいましたか? 京太郎「料理中はあんま雑談とか無かったですね。なにせ初めて挑戦する料理だったので、レシピと料理とをにらめっこして、それに関する意見交換だったり指示出しだったりで」 食事中はどうだったのですか? 京太郎「みんな料理に舌鼓を打つのに夢中で、落ち着いた時には皿は空になってましたね」 成程……。特にこれといった会話もなく食事会を終えたと。 京太郎「まぁ終わって後片付けしながら、雑談みたいなのはしたんですけど」 どのような内容ですか? 京太郎「結婚相手に求めるものはなにか」 いきなり話ぶっ飛びましたね。 何故結婚相手云々の話に? 京太郎「確かハオだったかに「S君は家庭的な女の子が好みだと聞きましたが、その割には主夫っぽいこともしてますよね」って言われたのが始まりだったかな、と」 ああ、言われてみればそうですね。 京太郎「まぁ俺としては主夫の道を志して始めた事じゃないんですがね、あくまで清澄のみんなのサポートとしてなわけですし。けど言われて考えてみれば、将来的にそれはそれでアリかもなと思った訳ですよ」 S君は将来どういう職に就きたいとかはないんですか? 京太郎「今の所具体的にどうこうはないですねー。麻雀プロになれたらそら嬉しいですけど、高校から始めた身で特に秀でてるものも無いですし、職にするにはちょっと厳しいかなーと思いますから」 どうしても就きたい職があるわけではないと。 京太郎「男としては一家の大黒柱になるべきという考えも無いわけじゃないんですが、それもまぁ考え方の一つに過ぎませんからね」 それで、家庭的な女の子でなくてもいいと? 京太郎「俺の好みが変わるわけじゃありませんが、結婚の条件とかにはならなくなったかなーって」 S君の結婚の条件って、何なんでしょう? 京太郎「うちって親戚付き合いも多いですし、その辺りが煩わしい人だと厳しいかなーとは思いますね。小さい子供もいるんで、子供好きだったり面倒見がいいと助かります」 ふむふむ。 京太郎「カピーもいるんで、嫌いだかアレルギーだかで動物ダメな人もうちではやっていけないですね」 婿入りは基本NGですか? 京太郎「あんまりそういう想定はしてないですし、したとしてもうちと縁が切れる訳じゃないですから。でもまぁ、NGってわけではないです」 巨乳じゃないとダメとかは? 京太郎「だからそういうのやめてくださいって西田さんの時に毎度毎度言ってるでしょーが!! 自分の性癖を結婚相手の条件に組み込むって、どんだけ器量の狭い男だと思ってるんですか!?」 ですが、性癖と合致しない相手と結婚しても辛くないですか? 夜の生活とかで。 京太郎「性癖と合致しない相手を好きになる事だってあるでしょーが!!」 それで、その条件をお話されて臨海の方々はどういった反応でしたか? 京太郎「え? いえ特に。みんなへーって感じで頷いてただけですけど」 では、臨海の方々はどのように答えていましたか? 京太郎「みんな当たり障りない感じでしたね。インタビューされて答えたのとそう変わらないですよ」 成程。お話はそれくらいで? 京太郎「あー、そういやネリーと一つ賭けをしてましたかね」 賭け、ですか? 京太郎「まぁ一応敵チームなんでね。宣戦布告みたいな感じで「残念だけど優勝はネリー達が貰ってくから、清澄はまた来年頑張りなよ」とか言われたんで、流石にまームッとしましてね」 喧嘩になったんですか? 京太郎「そこまでじゃないですけど、売り言葉に買い言葉で諸々言い合ってる内に、ネリーが「じゃ、賭けでもしよっか? 負けた方が勝った方の言うことを何でも一つだけ聞くの」って感じで」 まんまと口車に乗せられてしまったと。 京太郎「ですね。でも大丈夫ですよ。清澄は絶対勝って優勝するって信じてるんで」 ちなみにS君が賭けに勝った場合は、ネリー選手にどのような事をさせる予定ですか? 京太郎「俺と清澄のみんなに、調子に乗って煽り散らかしてた事を直接謝らせようかと思います」 では、最後に何か一言。 京太郎「ファイト清澄! 絶対優勝してくれ!」 前話 次話
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【8月第1週 平日】 京太郎「ほんと、憩さんていっつも何してるんだろう?」 京太郎「何…ナニ……?」 京太郎「ははっ、まさかな」 京太郎「IHに向けて追い込むぞ!」 京太郎「そういえば霞さんから説明とか受けてなかったな」 京太郎「咏ー特訓しようぜー!」 咏「おう、いいぜぃ」 咏「私は団体戦だけだからみっちり教えてやるよ」 京太郎「ま、お手柔らかにな」 咏「ロン、24000だよ」 咏「ツモ、4000・8000」 咏「ツモ、16000オール」 咏「ロ「ストーップ」」 京太郎「もういいです飛びました」 京太郎「ってかなんでそんな高いのばっか和了れるんだよ!」 咏「高いの目指せば作れんじゃね?知らんけど」 京太郎「知らんけどって……」 咏「とりあえず手牌見せてみ」スッ 咏「うーん、これなら、こうして……」 京太郎(小さいけど、なんか男っぽくて荒い性格してるけど) 京太郎(咏ってやっぱり可愛いよな」 咏「はっ!?」 京太郎「えっ!?」 咏「ん……そ、そっか」カァァ 咏「あっ!別に気にしてるわけじゃねえんだよ!」 京太郎「なんかコツをつかんだ気がするぞ!」 京太郎「次はどうするかな」 昼 京太郎「よし、中心街に行こう!」 京太郎「息抜き息抜き」 京太郎「海遊館に来てみたぞ」 京太郎「おお、これが海遊館のサメか」 小蒔「はっちゃんはっちゃん!サメですよ!サメ!」 初美「あ!あっちにエイがいるのですよー」タッタッ 京太郎「えっ」 初美「うわわっ!」 ドーン 初美「うう、痛いのですよー」 京太郎「きみ、大丈夫?」 初美「うわっ、金髪なのですよー!不良ですよー!タバコ吸ってるのですよー!」 京太郎「第一印象でそこまで決めつけないでもらえる!?」 小蒔「はっちゃんどうかしましたか?うわ、金髪」 京太郎「またですか……」 小蒔「金髪!かっこいいです!触らせてください!」キラキラ 京太郎「は、はい」 小蒔「凄いです!金ぴかです!」キラキラ 京太郎「あのー、もうよろしいでしょうか?」 小蒔「あ、長々とすみません!」ペッコリン 京太郎(おお、おもちが揺れる) 小蒔「申し遅れました、私、神代小蒔と申します。ほら、はっちゃんも」 初美「薄墨初美です、これでも高校3年生ですよー」 京太郎「ははっ、ご冗談を」 初美「冗談じゃないですよー!」ムキー 小蒔「まあまあはっちゃん落ち着きましょう、ね?」 初美「むぅ、姫様が言うのなら仕方ないですねー」 京太郎「あの後、3人で海遊館を周った」 京太郎「2人の連絡先ももらえたし良かったよかった」 京太郎「いいおもちだったな……」 京太郎「ここがUSJかぁ」 理沙(道に迷っちゃったな……あの子に聞いてみよう) 京太郎「金が無いから入らないけどな」 理沙(落ち着いて、落ち着いて……) 理沙「あのっ!」 京太郎「は、はいっ!」 理沙「ここ、どこ!」プンスカ 理沙(なんでいっつもこうなっちゃうのぉ……) 京太郎(なんで怒ってるんだこの人……あれ、この人どっかで見たような…) 京太郎「ここはUSJですよ」 理沙「USJ!?」 京太郎「道に迷ったんですか?」 理沙「ち、違う!」 理沙「ただ…その……」 理沙(なんか変な目で見られてる、うぅ、どう言おう) 京太郎(ひょっとして口下手だからうまく喋れないんじゃないかな?) 京太郎(じゃあ……) 京太郎「メアド、交換しませんか?」 理沙(メ、メアド!?まさかこの子が世に言うチャラ男なの?) 理沙「なんで!」 京太郎「会話できないならメールで用件を聞こうかと思いまして」 京太郎「初対面の人と話すときにどもっちゃうこととか良くありますよね」ウンウン 理沙(この人、私のことをわかってくれてるの?) 理沙(なにこれ、嬉しい) 理沙「わかった!」つ携帯 京太郎「……っと」ピロリン 京太郎「はい、これで完了です」 理沙(これで村吉さん含めて2件目のメアドゲットだ!) 京太郎「それで、どうして迷ったんですか?」 ヴーッ ヴーッ 理沙『大阪駅から東京駅に行こうとしたらここにいました』 京太郎「Oh……」 京太郎「あの後なんとか案内できたぞ」 京太郎「しかしあの人が野依プロだったとは、世界は狭いんだなぁ」 京太郎「通天閣に来たぞー!」 京太郎「前にも来たな」 小蒔「霞ちゃん!高いです!」 霞「小蒔ちゃん、ちょっと落ち着いて」 小蒔「これが落ち着いていられるかってんでいべらぼうめい!」 霞「口調がおかしくなってるわよ、って京太郎くんじゃない」 京太郎「あ、どうも」 小蒔「先刻ぶりですね、須賀さん!」 霞「あら、2人はもう知り合いなの?」 小蒔「はい!さっきはっちゃんと海遊館を案内してもらいました!」 京太郎「ところで、どうしてお2人がここに?知り合いなんですか?」 霞「親戚ね、私たちの家は代々巫女の家系なのよ」 霞「私やはっちゃんは分家で、小蒔ちゃんが本家」 京太郎「さっぱりわからんです」 小蒔「まあ細かいことは気にせず遊びましょう!」ギュッ 京太郎「ちょ、そんなにくっつかれると、俺の通天閣が!」 霞「通天閣が、なあに?」ニッコリ 京太郎「いえ、なんでもございません」 京太郎「こえぇよ、霞さんこえぇよ」 夜 京太郎「IH前にできるだけ宿題を片付けておこう」 京太郎「頑張るぞー!」メラメラ 京太郎「この問題わっかんねー」 京太郎「三角比とかもう何がなんだか」 京太郎「照に聞いてみるか?」 京太郎「……いや、参考書だけで頑張ろう」 【8月第1週 平日】終 【8月第1週 休日】 京太郎「明日から東京か」 京太郎「何を使って行くんだっけか」 京太郎「また中心街に行くか」 京太郎「サボってるわけじゃないよ!買い出しだよ買い出し!これ重要だから!」 京太郎「雀荘に来たぞ」 おっさま「おお、須賀ちゃん、今日はバイトじゃないんか?」 京太郎「はい、たまには打ちたいですし!」 おっさま(いっつも打ってるきがするのはワイの気のせいやろか……) カランコロン 京太郎「いらっしゃいませ!」 京太郎「あっ、条件反射でつい!」 やえ「おお、本当にいた」 菫「うげっ、本当にいた」 京太郎「同じ言葉なのに意思の違いが感じられるのは気のせいでしょうか」 やえ「まあまあ、須賀、どうだ?私たちと打たないか?」 京太郎「ええ、構いませんよ」 やえ「そうか、では、お見せしよう!王者の打ち筋を!」 やえ「にわかは相手にならんよ!」 京太郎「俺の新技を見せておげますよ!」 菫「私は蚊帳の外か……」 開局 京太郎(よし、テンパイしたぞ) 京太郎(でも、こんな安手じゃ満足しない) 京太郎(もっと、高くだ!) やえ(前会ったときとは何か違うようだな、ふむ) 京太郎「ツモ!6000オール!」 東2局 親 京太郎 43000 おっさま 19000 やえ 19000 菫 19000 京太郎(よっし、いい感じだ!) 京太郎(この調子で)トン 菫「ロン」ザシュ 京太郎「は!?」 菫「5200の1本場は5500」 菫「ようやく射抜いたぞ、須賀」 東2局 京太郎 37500 親 おっさま 19000 やえ 19000 菫 24500 やえ(菫は須賀を射抜いたか、ならば私も負けてられないな) やえ(須賀を撃ち抜く) やえ(なぜなら私は) やえ「リーチ!」 やえ(王者なのだから) 【大回転リーチ】発動! やえ(一発ならず、か) やえ(でも、須賀をぎゃふんと言わせるぞ!)トン 京太郎「あ、ロンです」 やえ「へ?」 京太郎「16000ですね」 東3局 京太郎 54500 おっさま 19000 親 やえ 2000 菫 24500 京太郎(また和了れた) 京太郎(後で咏にお礼でもするか) 京太郎(テンパイ、このままでいいか) やえ(ダメだったか、くそぅ、もう1回だ!) 菫(もう1度、射抜く!) 京太郎「ロン、24000」 終局 京太郎 78500 菫 24500 やえ 2000 おっさま -5000 京太郎「甲子園に来てみたぞ!」 淡「いぇー!」 京太郎「そういえば1か月くらい前にもここに来たんだよな」 淡「たしかに来たねぇ」ウンウン 京太郎「あのときの松実さんと戒能さんのおもちは、一生忘れまい……ッ」 淡「おもち?」 京太郎「そして今さらだが……」 京太郎「どうしてお前がここにいる」 淡「ん?誰?」 京太郎「お前だよ、淡」 淡「え、私?」 京太郎「お前以外にだれがいるんだよ」 淡「あ、そだねー」 京太郎「お前さぁ……」 淡「今日って何もやってないのかな?」 京太郎「もうすぐ甲子園だからな」 淡「甲子園といえば、京太郎の学校はインターハイに来るんだよね!」 京太郎「話題換えんの早くね!?」 京太郎「まあ行くよ」 淡「じゃあさ!私とどっか行かない?」 淡「地元民の淡ちゃんが案内してあげるよ!」 京太郎「いやもう神田とか行ったしいいや」 淡「もうちょっと迷ってよ!」 京太郎「うーん……わかったよ」 京太郎「楽しみにしとくよ」 淡「やたっ!」 京太郎「コンビニに来たぞ」 菫「くっそぉ、一回しか射抜けなかった……ポッキーおいし」ポリポリ やえ「私なんて焼き鳥で倍満あてられたんだぞ……たけのこおいし」パクパク 菫「やえ!お前はなんてものを食べている!たけのこなど!」ポリポリ やえ「たけのこいいじゃないか!このドリルのような形状が特にいい!」パクパク 菫「ついに二つの意味で頭がクルクルパーになったのか!」ポリポリ やえ「なんだと!」パクパク 京太郎「二人とも落ち着いて」 や菫「「どうしてお前がここにいる?」」 京太郎「えーっと、買い物?」 菫「やえ、準備はいいか?」 やえ「ああ」 京太郎「何をする気ですか!」 やえ「須賀にたけのこときのこを食べ比べてもらう」 京太郎「なんで1箱ずつあるんですかねぇ」 菫「そりゃ、1箱食べなきゃ判定なんてできないだろう?」 京太郎「判定も何も、どれも同じじゃないですか!」 や菫「「あ゙?」」 京太郎「きのことたけのこを食べさせられ続けてゲシュタルト崩壊、ついでに俺の鼻も決壊」 京太郎「俺の味覚もう限界」 京太郎「口のなかが甘ったるい」 京太郎「IH前、特訓するか」 京太郎「照と特訓するか」 照「読んだ?」 京太郎「何をだ」 照「詠んだ?」 京太郎「詠んでない」 照「呼んでないんだ……」 京太郎「それだよそれ!」 照「本当に、いいの?」 京太郎「今の俺なら照にも勝てる!」 照「はぁ……」 ――――――― 照「ロン、13500」 京太郎「五連荘とか、マジかよ……」 夜 京太郎「東京に行ったらできないだろうしやっとくか」 京太郎「戒能さんでヤるか……」モゾモゾ 30分後 京太郎「あれ、マイサンがスタンドアップしないぞ」 京太郎「はぁ……寝るか」 【8月第1週 休日】終 【8月第2週 インターハイ0日目】 京太郎「着替え、歯ブラシ、お菓子、本、パソコン」 京太郎「いざ、インターハイへ!」 ―――――――――――――― 霞「今日は何もしなかったみたいね」 京太郎「だってみんな起きてるじゃないですか」 霞「やるつもりはあった、と」 京太郎「ありま……」 霞「」ニッコリ 京太郎「せんでした」 京太郎「そういえば、どうやって東京に行くんですか?」 霞「車よ」 京太郎「霞さんって車持ってましたっけ?」 霞「私は運転、車は」 郁乃「私のやで~」 霞「郁乃ちゃんの運転免許は使えないから私が運転するの」 京太郎「車を実際に運転したことは?」 霞「」ニッコリ 京太郎「隣は照か」 照「気持ち悪い」ウプッ 京太郎「ちょ、早くね!?」 照「落ち着いた」 京太郎「郁乃さんが酔い止め持っててよかったな」 照「うん」 京太郎「そうだ、郁乃さん」 郁乃「なんや~?」 京太郎「割りばし持ってます?」 郁乃「持っとるよ~」 京太郎「赤ペンと黒ペンは?」 郁乃「水性油性どっちも持っとるで~」 憩「なんでそんなに持ってるんですか……」 咏「何する気だぃ?」 京太郎「王様ゲームだ」 照「王様ゲームって、あの本の?」ガクガク 京太郎「普通の王様ゲームだからな」 エイスリン「オウサマgame?」 霞「パーティーとかでよくやるゲームよ、一回やってみればわかるわ」 京太郎「王様だーれだ?」 憩「あ、ウチや」 京太郎「じゃあ命令してください、どうぞ」 憩「うーん、2番の人が3番の耳が甘噛みする、で」 郁乃「2番は誰や~?」 京太郎「俺で、すね」 咏「うえっ!?」 郁乃「咏ちゃんが3番やな~」 咏「そんなのぜってえおかしいだろ……」 京太郎「う……」 京太郎「あの、命令変えてもらえませんかね?」 照「うん、うん」 霞「あら、命令は絶対よ、守りなさい」 京太郎(この人、自分は参加できないからって!) 咏「……命令じゃ、仕方ないよな」ボソッ 咏「いいよ、京太郎」 京太郎「……はぁ、じゃあやるぞ」 ハムッ 京太郎(咏の耳、なんかしょっぱいな)ハムハム 咏「んっ」 京太郎「ぷはっ……もういいでしょう?」 霞「上出来よ」 京太郎「ごめんな、咏」 咏「な、なんてこと、ねえよ……///」 郁乃「それじゃあもう1回や~」 エイスリン「オウサマガメイレイスル?」 郁乃「そうそうそういうことやで~」 郁乃「王様誰や~?」 照「私」 郁乃「命令は~?」 照「私が5番をくすぐる」 京太郎「5番は誰だ?」 咏「またかよ……」 照「行くよ」 咏「おう」 照「こちょこちょ」ギュルルル 咏「あはははっ」 5分後 照「こちょこちょ」ギュドルルルルルルルル 咏「はあっ、もう、やめっ、て」 照「まだまだ」ガギュラルルルルルルルルルルル 咏「や、め、あっ、あっ」 京太郎(くすぐられて咏の和服が乱れて、その、やばい……) 郁乃「さ、3回目行くで~」 京太郎「放置するんですか!?」 エイスリン「オウサマダーレダ?」 照「私」 京太郎「あれ、また?」 憩「何言うてんの?さっきは京太郎くんやったやん」 京太郎「え、あれ?」 郁乃「命令は~?」 照「4番の人が東京に着くまでの間語尾に「にゃ」をつけて喋る、で」 京太郎「4番は誰ですか?」 咏「今回は違った……よかった」ホッ 郁乃「また当たらんかった~」 エイスリン「ワタシ、1」 京太郎「じゃあ……」 憩「」カタカタ 照「さ、早く」 憩「な、なんとかならへんの?」 照「にゃだよ、にゃ」 憩「なんとかならへんのか……にゃ?」カァ 照「合格、その調子」 照「王様だーれだ」 咏「私だぜぃ!」キャッホー 咏「命令は、そうだねぃ……」 咏「1番の人がアへ顔をする、で」 郁乃「1番だ~れや?」 京太郎「あ、俺です」 照「誰得」 憩(ア、アヘ顔……)モゾモゾ 霞「却下で」 咏「王様はだれだぃ?」 照「私」 郁乃「また照ちゃんか~」 エイスリン「テル、ツヨイ!」 照「郁乃さん、メイド服持ってる?」 郁乃「あるで~」 照「じゃあこれを2番の人が着る、で」 憩「ま、またかいにゃ……」カタカタ 郁乃「じゃ、後ろで着替えてな~」 エイスリン「キョウタロー、ミチャダメ!」メカクシー 京太郎「ぬわっ!」 ――――――――― 憩「着替えたにゃ……」 郁乃「うわぁ~可愛いわ~」 エイスリン「ケイ!good!」 京太郎「憩さん……」 憩「ぁぅ……」 京太郎「めちゃくちゃ似合ってますよ!素敵です!」 憩「ほ、本当かにゃ?」 京太郎「はい」 憩「そ、そうかにゃ……」 京太郎「王様だーれだ?」 郁乃「あ、ウチや~」 照「え」 憩「あ」 エイスリン「ウ」 咏「い」 照京憩エ咏(*1)))) 郁乃「じゃあ~5番の人の黒歴史暴露や~」 憩「またウチだにゃ……」 郁乃「早く早く~」 憩「実はな……ウチ、技があるのにゃ」 照「技?」 エイスリン「ブラストバーントカ?」 京太郎「ダークフレイムとか?」 憩「ヒーリングローリング、だにゃ」 郁乃「わぁ~見せて見せて~」つ包帯 咏「何でもってるんだよ」 憩「わかったにゃ……」 憩「ヒーリング!ローリングー!」 バシバシ 京太郎「あばっ!」 京太郎「~~~!」モゴモゴ 憩「患者を拘束する技なのにゃ」 憩「やっと、やっとウチにゃ」 憩「命令は、3番の人が窓から大声で大会の目標を叫ぶ、だにゃ!」 咏「で、3番は……」 郁乃「あ、私や~」 エイスリン「イッカイモコナイ……」 郁乃「ん~じゃあ~」 郁乃「全国優勝したるで~!」 竜華「応援してるで」 郁乃「え?」 怜「どうも」ペッコリン 霞「実は千里山の子たちもこっちで預かることになったのよ」 雅枝「私のは4人乗りやから、そっちに2人乗せてもらうんや」 京太郎「で、誰が乗るんですか?」 泉「よろしくお願いします」 浩子「右に同じです」 雅枝「次は浜名湖で休憩や、お先」 ブロロロ 霞「じゃあ私たちも行きましょうか」 郁乃「次はものまねせえへん?」 京太郎「ものまね、ですか?」 郁乃「さっきの王様ゲームの割りばし使って星マーク引いた人がやるんや」 泉「へぇ、いいですね」 郁乃「ほな早速~」 浩子「なぜにメイド服?」 憩「訊かんといてにゃ」 咏「うわっ、私かよ」 郁乃「わくわく」 エイスリン「ドキドキ」 咏「じゃあエスパー伊藤の物まねしてやるよ」 泉「エスパー伊藤?」 郁乃「はいかばん~」 咏「ん……」モゾモゾ ジーッ 船Q「ああ、あの人ですか」 咏「どうだ!」ヒョコ エイスリン「!」カキカキ バッ |飛行機と金の絵| 憩「これは、どういうかとかにゃ?」 京太郎「これを使えば旅行代が1人分浮く、と」 エイスリン「ウンウン」 憩「ウチかにゃ~」 憩「エスパー伊藤の物まねをするのにゃ」 郁乃「カバンならあるで~」 憩「……ん」ゴソゴソ 泉「体柔らかいんですねぇ」 憩(アソコ舐めようとしたら軟らかくなってた、なんて言えへんよなぁ……) ――――――――――― 船Q「次は私ですか……じゃあおばちゃ…もとい監督の物まねします」 船Q「コホン……」 船Q「おい、須賀、焼きそばパン買ってこいや」 泉「ひっ」 咏「どうかしたのかぃ?」 泉「いや、なんでも」 郁乃「うわぁ~似とるなぁ~」 憩「親戚やからにゃ」 霞「あ、もうすぐ着くわよ」 ――――――――――― 【浜名湖】 霞「休憩は20分くらいよ、それじゃあまた後で」 京太郎「さて、どこに行こう」 京太郎「これが浜名湖か……」 穏乃「わあーっ!広い!東京ドーム100個分あるんじゃないかなっ!」 憧「100なんて数字ではしゃぐ高校生シズくらいしかいないよ」 玄「あれ、あの人は……」ウーン 怜「お、京くんや」 京太郎「怜さんもここに?」 竜華「ウチもおるで」 玄「あ、須賀くん!」 京太郎「松実さん!?」 玄「お久しぶりなのです」 京太郎「どうも」 憧「クロ、知り合いなの?」 玄「少しだけだけどね」 京太郎「松実さんたちもインターハイですか?」 玄「ふっふっふ、これでも奈良代表なのです」ドヤァ 玄「どうです?」ドヤッ ドヤッ 憧「ドヤ顔やめなって」 穏乃「……も?」 セーラ「怜ー!竜華ー!須賀ー!車が出るでー!」 竜華「もう行かなきゃやな」 怜「この度は、失礼しました」 京太郎「じゃあまた、えーっと」 憧「新子憧よ」 穏乃「高鴨穏乃っていうんだ、よろしくね!」 京太郎「おう、それじゃあまたな」 玄「さよならなのです~」ブンブン 晴絵「あの制服、たしか千里山女子のだよな」 晴絵「あれ、じゃあもう1つの制服はどこのなんだ?」 晴絵「うーむ」 灼「ハルちゃん、どうかしたの?」 晴絵「あ、いや、なんでもないぞ」 京太郎「じゃあ次は大富豪でもやりましょうか」 郁乃「大貧民が罰ゲームやな~」 京太郎「デュエル、スタンバイ!」 郁乃「あちゃ~上がれんかった~」 京太郎「じゃあ罰ゲームですね」 照「!」ピコーン 照「リボン、持ってる?」 郁乃「持っとる、けど」 照「じゃあそれ付けて」 郁乃「え?」 照「罰ゲーム」 憩「自分で言ったことにゃ」 郁乃「うわぁ~!」 郁乃「ど、どうや……?」 京太郎「なんか新鮮ですね、可愛いと思いますよ」 郁乃「か、からかわんといてや……」カァァ 咏「助手席だから参加できねぇ」 霞「まあまあ、ラジオでも聞きましょうよ」 ズン ズンズンズンドコ 霞「き・よ・し!」 咏「演歌かよ……」 照「大貧民……」 郁乃「革命起こして都落ちや~」 泉「罰ゲームはどうします?」 憩「東京に着くまで中二病ににゃるとかどうかにゃ?」 京太郎「あ、それいいですね」 照「中二病?」スットボケ 京太郎「知らないとは言わせないよ、文学少女さん」 照「見よ!これが我が現世で得た<ブレイズコード>、開闢の輪廻だ!」ギュルルルル 照「がはっ!これが貴様のチカラ、終焉の一閃かッ!」 照「もういい?」 憩「罰ゲームは絶対だにゃ」 郁乃「また私かぁ~」 船Q「罰ゲームは、そうですね……」 スバラシイ! 霞「Y・M・C・A!」 船Q「石戸先輩を怒らせてください」 郁乃「……は?」 京太郎「大声で悪口言えばすぐ怒りますから大丈夫ですよ」 郁乃「そういう問題じゃなくてやな~」 憩「早くするにゃ!」 郁乃「うぅ~」 郁乃「霞ちゃんの年増!」 郁乃「コロコロ使い!」 郁乃「垂れパイ!」 キキッ 霞「郁乃ちゃん」 郁乃「は、はい!」 霞「ホテルに着いたら、わかるわね?」ニッコリ 郁乃「」ダラダラ 霞「わかるわね?」 郁乃「イエスマム!」 泉「私が大貧民ですか……」 郁乃「……」ズーン 船Q「罰ゲームは大富豪とメルアド交換とか?」 京太郎「それのどこが罰ゲームなんですか」 京太郎「そもそも大富豪俺ですし」 憩「じゃあ罰ゲームどうするかにゃ?」 京太郎「そうですね……じゃあ 180で」 霞「着いたわよー」 泉「おつかれさまです、マッサージしましょうか?」 霞「あら、よろしく頼むわ」 泉「本当にやるんですか?」ボソボソ 京太郎「罰ゲームは絶対だからね、しょうがないね」ボソボソ 泉「責任、取ってもらいますからね」ボソボソ 泉「失礼します」モニュ 泉(なんや、この感覚、ありえへん) 泉(同じ人間とは思えへん) 泉(いっつも京太郎くんはこれ見てるな) 泉(うらやましい……) 泉(私も、豆乳飲んだりすれば……) ―――――――― 泉「京太郎くん!」バイーン 京太郎「泉!付き合ってくれ!」 ―――――――― 泉(なんてことに……)モニュモニュ ガシッ 霞「気は済んだ?」ニッコリ 泉「あばばばばばばば」 霞「はぁ、すっきりした」 京太郎「」ガクガク 郁乃「」ダラダラ 泉「」カタカタ 照「今日は何があるの?」 エイスリン「カイカイシキト、チュウセンカイ」 照「開会式……長いんだよね」 咏「え、そうなん?」 照「連盟の会長の話がね」 憩「その後の抽選会はウチの出番やな」 霞「あ、その抽選会のことなんだけど、私たちは第2シードらしいわよ」 憩「な、なんで?」 霞「元々千里山の枠になるはずだったのけれど私たちが進んじゃったでしょ?」 霞「それで変更するのが面倒臭いから、だそうよ」 咏「うわ、てきとーだねぃ……」 憩「シード校が参戦するのは2回戦からやから……」 霞「日程はこうなるわね」 1日目 オフ 【Aブロック一回戦・第一~第三試合】 2日目 オフ 【Bブロック一回戦・第一~第三試合】 3日目 オフ 【Aブロック一回戦・第四~第六試合】 4日目 オフ 【Bブロック一回戦・第四~第六試合】 5日目 【Aブロック二回戦・二試合】 6日目 オフ 【Bブロック二回戦・二試合】 7日目 【Aブロック準決勝】 8日目 オフ 【Bブロック準決勝】 9日目 【決勝】 10日目 【個人戦一回戦】 11日目 【個人戦二回戦】 12日目 【個人戦三回戦】 13日目 【個人戦準決勝】 14日目 【個人戦決勝】 京太郎「個人戦は男女で同じ日にやるんですか?」 霞「場所は違うけどね、男子は西東京の方の会場になるわ」 霞「ちなみに、個人戦の一回戦と二回戦の通過条件は半荘1回で1位になることよ」 霞「三回戦と準決勝の通過条件は少し変わって、半荘1回で2位以上になること、だったわね」 霞「説明も終わったことだし、開会式に行きましょうか」 照「長い闘いだった……」 咏「同じ話を延々とするって頭どうなってんだよ」 エイスリン「ズレテタ!」 憩「それ言っちゃダメやから!」 京太郎「男子は開会式無しって邪険じゃないか?」 京太郎「そういえば、ここで女子団体戦が開かれるんだよな」 京太郎「うろついてみようかな」 午後 京太郎「へー菓子屋まであるのか」 淡「私のオススメはねー」 京太郎「なんでまた会うかな」 淡「運命の赤い糸ってやつじゃない?」 京太郎「そんな言葉、似合わないぞ」 淡「じゃあ、単なる偶然じゃないの?」 京太郎「急にあっさりしたな」 淡「いいからいいから、ケーキ食べに行こっ!」 京太郎「ケーキ?」 淡「ここのムシー!ケーキはおいしいんだよ」 京太郎「蒸しケーキか……」 淡「どうかな?」 京太郎「いや、金ないからパス」 淡「むぅ、もういいもん!ヤケ食いだー!」タッタッ ムシー! ム、ムシ? ソレハシリマセン 京太郎「いっつも元気なやつだな」 京太郎「今度は別の場所に行くか」 京太郎「ここ、どこだ?」 京太郎「調子に乗って行きすぎたな……」 理沙(トイレ、どこぉ……) 京太郎「あ」 理沙「あ」 京太郎「お久しぶりですね、野依プロ」 理沙「あぅ……」 理沙(ど、どうしよぉ、須賀くんに訊くのは恥ずかしいし) 京太郎「どうかしましたか?」 理沙「な、なんでもないっ!」ドヒューン 京太郎「あ……」 京太郎「案内してもらおうと思ったのに、どうしたんだろう?」 理沙(言えない言えない!トイレまで連れて行って、なんて!)タッタッ 理沙(あ、もうこれ、げん……かい) 京太郎「お、出れた」 京太郎「早く宿舎に戻らないとな」 京太郎「そういえば夕食は各自外で食べるって話だったな」 京太郎「どこに行こう」 京太郎「お財布に優しいサイゼリヤに来てみたぞ」 店員「すみませんお客様、ただいま店内混みあっているので相席でもよろしいでしょうか?」 京太郎「はい、大丈夫ですよ」 店員「それではあちらの席へどうぞ」 京太郎「相席させてもらってもよろしいでしょうか?」 はやり「ああ、どうぞ」 京太郎「どうもすみませんね……ん?」 はやり「どうかしましたか?」 京太郎「あっ」 京太郎(こ、この童顔、そしてこのおもち!) 京太郎(変装していてもわかる!見まがうことなどない!) 京太郎(このおも…人は!) 京太郎「瑞原プロ!」 はやり「ひっ」ビクッ 京太郎「牌のお姉さんの瑞原はやりプロですよね!」 京太郎「俺、ファンなんです!本も、もがっ」 はやり「ちょっーと静かにしててね、お姉さんとの約束だよっ☆」 はやり「おごってあげるから、ね?」 メニュー 東北風グラタン 関東風ドリア 中部風カルボナーラ 関西風タコのカルパッチョ 九州風ハンバーグ 京太郎「グラタンうまっ!」 はやり「うぅ、今月の食費がぁ……」 はやり「ただでさえ最近仕事減ってるのに……」 京太郎「う……すみません」 はやり「気にしないでいいよ」 京太郎「俺でよかったら相談に乗りましょうか?」 はやり「いいの?」 京太郎「一応、ファンですから」 はやり「わかりました、じゃあこれがはやりの連絡先です」 京太郎「え、本当にいいんですか?」 はやり「来る連絡はどうせマネージャーさんの事務連絡だけですし」 はやり「きみがいたずらするような子だとは思わないし」 はやり「大丈夫ですよ」 京太郎「じゃあ、ありがとうございます」 はやり「そういえば君、制服だけどもしかしてインターハイに出るの?」 京太郎「はい、三箇牧高校の須賀京太郎といいます」 はやり「そうですか、インターハイ頑張ってくださいねっ☆」 京太郎「宿舎に着いたのはいいけど」 京太郎「俺の部屋ってどこだったっけ?」 京太郎「334号室、ここか」ガチャ 京太郎「うおっ!広い!ベッドも大きい!」 京太郎「うっはー最高!」 京太郎「あれ、もう一つ旅行鞄があるぞ?どういうことだ?」ウーン 京太郎「ま、いっか、次はシャワールームを」ガララ 竜華「なんや怜、寂しくなって来たん……か」 京太郎「えっ」 竜華「えっ」ユアガリ 竜華「で、出てけー!」 京太郎「さ、サーセンでしたぁっ!」 竜華「監督に確認したんやけど、やっぱりウチもここや、って」 京太郎「俺もですよ……」 竜華「でも、どうする?寝るとことか」 京太郎「それは俺が床で寝ますよ」 竜華「でも、須賀くんは個人戦出るんやろ?」 京太郎「それを言ったら清水谷さんもじゃないですか」 竜華「うーん……」 竜華「やっぱり、一緒に寝ようか?」 京太郎「いいんですか?襲っちゃうかもしれませんよ?」 竜華「どうせ須賀くんにはそないな意気地あらへんから大丈夫や」 京太郎「うぐっ、確かにそうですね」 竜華「ほな、2週間よろしくな」 京太郎「いえいえこちらこそ」 竜華「あ!せや、ルームメイトになった記念にお互いのこと名前で呼ばへん?」 京太郎「いいですね、それじゃ、竜華さん」 竜華「なんや?京くん」 京太郎「名前じゃないですよね、それ」 竜華「怜もこう呼んどるしええやん」 京太郎「そういえばそうでしたね」 京太郎「それじゃあ竜華さん」 京太郎「何しましょうか」 夜 京太郎「お菓子、食べます?」 竜華「お菓子?」 京太郎「持ってきたんですよ色々」 京太郎「どうです?」 京太郎「焼きプリンうまっ!うまー!」 竜華「うぅ……」 竜華(怜に、「竜華って重そうやな」って言われて、頑張って1キロも落としたのに、プリンなんて食べたらまた太ってまう) 竜華(我慢や、我慢)ジーッ 京太郎「超デリシャス!」パクパク 竜華(我慢…)ジーッ 京太郎「最後の一口!……」 竜華(がまん……)ウルウル 京太郎「竜華さん」 竜華「な、なんや?最後の一口食べたらええやろ」 京太郎「いいですから、はい」アーン 竜華(京くん優しい!やなくて、我慢や!) 竜華(でも、一口くらいなら……) 竜華(ええやろ) 竜華「あーん」 京太郎「ぱくっ」 竜華「え?」 京太郎「あーおいしかった」 竜華「え?え?」 京太郎「食べさせてもらえると思った?」 京太郎「残念、食べちゃいました!」 竜華「」 【0日目】終了 【インターハイ 1日目】 竜華「……ん」 京太郎「くっ!これじゃあ息子の世話ができねぇ!」 竜華「すぅ……」ムニュ 京太郎「ああ、ここが天国か」 京太郎「麻雀するか」 京太郎「千里山の人に教えてもらうのもありだな」 竜華「何ブツブツ言うてんの?」 京太郎「竜華さん、怜さんの部屋「337」」 京太郎「行ってきます」 怜「特訓か」 京太郎「はい」 怜「でも私に教えることなんてないからなぁ」 京太郎「じゃああれ!一発教えてくださいよ!」 怜「え、あれ?」 京太郎「見ていて凄かったですよ!リーチすれば絶対一発って!」 怜「そんなに教えてほしいんか?」 京太郎「はい!是非!」 怜「じゃあ」 怜「チカンガオルデー!」 怜「いっぺん死んで来てな」 京太郎「……は?」 バタム! 竜華「痴漢は、どこや?」ゴゴゴゴゴ 京太郎「なんで包丁なんて……」 竜華「そうかァ、京くんやったんやな」 京太郎「俺何もやってない!無実ですから!」 竜華「問答無用!」 ゴッ 京太郎「また相席か」 京太郎「近くでインターハイやってるんだし当然か」 京太郎「すみま……」 豊音「わーっ!料理がいっぱいあるよー!」 豊音「どれもおいしそうだなー」キラキラ 京太郎「相席してもいいですか?」 豊音「わわっ!いつからそこに?」 京太郎「少し前からですね」 豊音「久しぶりだねー!あ、そうだ!」 豊音「料理選ぶの手伝って!」 京太郎「は、はい」 メニュー 東北風グラタン 関東風ドリア 中部風カルボナーラ 関西風タコのカルパッチョ 九州風ハンバーグ 豊音「どれにしようかなー?」 豊音「このハンバーグもおいしそうだし、ドドリア?っていうのもオシャレだし」 豊音「カルボナーラが一番おいしそうだよー」 京太郎「じゃあ、俺がカルボナーラ頼んで分けましょう」 豊音「いいの?じゃあ私はハンバーグにするね!」 豊音「須賀くんが来てくれて本当に良かったよー」 豊音「あれ?須賀くんがここにいるってことは、須賀くんもインターハイに出るのー?」 京太郎「はい、俺が個人戦、女子は団体戦で」 京太郎「女子の個人戦もウチから2人出ますね」 豊音「私も個人戦出るんだ!」 豊音「シロは参加すらしなくって、岩手代表は私の高校の4人なんだー!」 京太郎「す、すごいですね」 豊音「そういえば須賀くんの学校ってどこだっけ?」 京太郎「三箇牧ですね」 豊音「三箇牧!?」 豊音「そこってチャンピオンの宮永照さんが移ったとこだよね?」 豊音「あとは個人戦2位の荒川憩さんとか!」 豊音「あんな人たちといるなんてすごいねー!」 京太郎「今度サインでももらってきましょうか?」 豊音「いいの!?」 京太郎「多分ですけど」 豊音「それでもいいよ!ありがとー!」 京太郎「午後は何をしよう」 京太郎「よ」 照「ん、どうしたの?」 京太郎「特訓しないか?」 照「いいよ」 照「じゃあ私の部屋に」 京太郎「いや、外でやろう」 照「どうして?」 京太郎「刺されたくないから」 竜華「京くんどこ行ったー?」 京太郎「なあ照、お前あれ使わないのか?」 照「あれって?」 京太郎「あのギギギーってやつ」 照「あれは……まだ使わない、使えない」 京太郎「かくかくしかじか」 竜華「なるほどな、怜が悪かったんか」 竜華「ごめんな、京くん」 京太郎「いや、わかってくれてよかったですよ」 夜 京太郎「竜華さんは怜さんの部屋に行ったらしいし、今のうちに風呂に入るか」 京太郎「……」 京太郎「竜華さんに背中流してもらったらもう死んでもいいわ」 竜華「京くんいないみたいやし、風呂入っとこ」 ガララ 京太郎「あ」 竜華「あ」 京竜「「またこのパターンか!」」 竜華(怜がいるから下手に出て行けへん……どうしよ) 京太郎(まさか竜華さんが入ってくるとは……どうしよう) 竜華「うっ、京くん、に裸見られ、た」グスッ 竜華「もうお嫁にいけへん……」グスッ 京太郎「うぐっ」 京太郎(ここは……)プイッ 京太郎「何も見てませんから!安心してください!」 竜華「ホンマ?ホンマにホンマ?」 京太郎「ホンマにホンマでホンマですから!」 竜華「良かったぁ……」 竜華「でも、これからどうする?」 京太郎「そうですね……」 竜華「このまま出ていくのもあれやし、体だけ洗っときたい」 京太郎「別にいいですよ、俺タオルで目隠ししますから」 竜華「ほんまにごめんな」 シャワー 京太郎(俺の後ろで竜華さんのあの体があって) 京太郎(あのおもちを洗っていると考えると……やばいな) 京太郎(いかんいかん、邪念は取り去らねば) 京太郎(でもなぁ……) キュッ 竜華「お、終わったからもう出るな」 京太郎「わかりました」 ガララ 京太郎「さて……と」 【1日目】終了